■横浜トリエンナーレの続き。正確には横浜トリエンナーレとは独立した連動企画で、黄金町エリアマネジメントセンターが主催している『黄金町バザール2014』を観に行った。黄金町バザールは毎年開催されていて、観に行くのも今年で7回目になる。最初は黄金町にある特殊飲食店に使われていた建物を簡易にリノベーションしただけのものだったのが、だんだんと整備が進み、高架下スタジオのようなスタジオ・レジデンスも構えるようになってずいぶん雰囲気が変わってきました。
当初は「黄金町」という土地の歴史を意識したサイトスペシフィックな作品が多かったのですが、回を重ねるにつれ少なくなっていった印象があります。特殊飲食店が集まっていた土地柄、外国人女性が多く流入した土地で、彼女らをテーマにした作品もあったのですが、そのアジアへの視線は今回のテーマ『仮想のコミュニティアジア』につながっているようです。もっともアジア圏を意識したテーマは横浜市の企画にもあり、そちらに巻き取られているようでもあります。アジア圏の現代美術で連想するのは博多の福岡アジア美術館ですが、横浜トリエンナーレ側では福岡アジア美術館の福岡トリエンナーレとも連携していて、こちらも楽しみです。
以前は外に見えるような展示も多かったと思うのですが、最近はひっそりとした展示になっているようで…8月の残暑厳しい時だったからかもしれませんが、地域を挙げてのイベントという雰囲気でもなさそうで、そこは少し寂しく懸念も感じています。地域の商店との連携の取り方が難しいのだと思うのですが、もうすこしにぎやかになってくれるとみている側も楽しくなります。
今回の展示ではシンディー・望月の《port of dream》、青木真莉子の《Rim trip room》が印象に残りました。青木の《Rim trip room》はビデオ作品で、その展示会場が路地裏にあるのですが、映像の中にその路地がそのまま登場するので軽く混乱します。横浜下町的マジックリアリズムといったような。シンディー・望月の《port of dream》もそうしたマジックリアリズム的作品のように思います。占いの館、という体裁ですが館そのものに何か異形なものが宿る気配を感じさせる、いろいろな物語を想起させる作品でした。