■神奈川県立近代美術館の企画展で、スケジュールがあることは知っていたのだけど回顧展ということもあって、ちょっと遠慮していたのだけど、企画展のビジュアルが同美術館のウェブサイトに上がって気が変わった。明るい色使いが躍動的に使われている作品には惹かれる。行ってみて良かった。
元々は白黒の版画から多色摺り、油彩、造形と制作が広がっていったとのことで展示作品の種類は多彩。惹かれたのはやはり多色摺りの作品で、『胸壁』のシリーズ。鮮やかな色が濃淡の波となって様々なパターンを作る。額表面を保護するガラスの反射がうるさかったのは残念だけど、それでもなかなか見飽きることがなかった。
造形作品もおもしろくて、60~70年代のフルクサス作品のような雰囲気も感じたのだけど、一つのコスモスを封じたような端正な印象があった。最近多い荒々しい造形とは系統的にはまったく違うけれど、それでも整って隙が無い作品にはそれはそれで魅力を感じる。自分の中では部屋の中に飾られるかどうかという基準があるのだけど、もともとカオティックな部屋なので、逆に端正な造形に惹かれるということかもしれない。
美術館には朝早く行ったので、その後は鎌倉の街中をぶらぶらと。喫茶店に寄ったり本屋を探したり。今は木製の食器に関心があって、鎌倉の工芸関係のお店をのぞいてみたのだけど、考えてみたら鎌倉は鎌倉彫があるので、どうしてもそちらよりが多いのだった。あちこちひやかした結果、『鎌倉クラフトマルシェ』でようやく気に入ったものを発見。それほど高いものでもなかったので購入した。それはそれとして、鎌倉の通りを歩き回るというのもずいぶん久しぶりな気がする。
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