■梶取岬というのは山口県柳井市から同県光市を越えて周南・防府方面へ抜ける海岸沿いにある、もっとも東寄りに位置する大きな岬です。「梶取」というのはたぶんそのまんまで、沿岸を行き来する船はこの岬を目印にして梶を切ったから、というのはまるきり想像ですが、そんなところでしょう。そこへ行きました。自転車で。ざっくり片道30キロくらいでしょうか。
天気予報によれば曇り。最低気温5℃、最高気温15℃。以前に粭島へ行った時に比べれば最高気温はだいぶ高くてありがたい。櫛ヶ浜駅、下松駅前を通過。思い出したように漕いでいるにしては脚ができてきたのか、あるいは漕ぎ方のペースを覚えたのか、まったく脚が動かなくなって休憩ということにはならず。脚が重くなったらギアを落としてゆっくり漕ぐようにして、スピードが乗ってきたらギアをあげて、という繰り返し。
今回、サイクルコンピュータを取り付けたのですが、トップギアで巡航25km/h、二段落として17km/hという感じ。ただ、先にある信号が変り目だったら頑張るようなこともしなかったのでしょっちゅう信号に掴まって停車していました。
下松市を抜けて光市に入るとルートは海岸線に接近し、磯の匂いをきつく感じながら走ります。光市の駅前から市役所にかけてのエリアがやたら小奇麗で感心したのですが、これはきっとロードサイドだからですね。海岸線の松原に沿った道路は湘南の134号を連想させたのですが、それにしては歩道が両サイドに整備されていないし、結構短いし、という感じ。ただ、砂浜は白いし、海の透明度も高く、湘南の海とは大分違います。ちなみに、こちら(山口)の人が湘南を見て驚くのは砂浜の黒さなんだそうです。
光駅~市役所にかけてのエリアを抜けるとあっという間に郊外の風景。室積という交差点を過ぎてしばらく走ると、左手の山が次第に海岸線へと迫り、やがて山の裾野を切り崩した海岸線をなぞる道路に。歩道はなく、わずかに路肩があるのみ。交通量は決して少なくはなく、ちょっと危ない感じもします。道も悪いのは、海際で痛みが激しいからなのか。ひび割れを埋めたコーキングの凹凸による振動がひどい。
カーブの多い道なりは、尾根を巻く道を連想させますが、ここは瀬戸内の沈降地形なのだから、それも当然でしょう。
いくつかのカーブを回り、次第に狭くなる路肩に危ういものを感じながら走り続けると、ほぼ直角のカーブ。その向こうには遥か遠くに島が見え、そのカーブが大きな岬であることを思わせます。案の定、そこが梶取岬でした。
事前に地図で調べていて予想はできていたのですが、案の定、何にも無いところでした。展望台があるわけでなし、休憩所があるわけでなし。ただ、カーブのRをきつくするにも限度があるためか、カーブ内側、山側には一応スペースがあり、休めなくはないです。車を停めることは難しいですが、自転車なら停められる。ドライバーからすると、カーブの内側に突然自転車が止まっているので、ちょっとびっくりするかもしれませんが、それほど余裕が無い場所という感じはなく。
ただ、やっぱりここは危ないですよ。左右の見通しが悪く、接近車両は音で察知するしかない。しかも、反対車線の路肩が狭く、自転車を押して立つ余地があまりない。だいたいこの道で方向転換するなんて、誰も考えたことはないでしょう。交通量が多いときはこのまま柳井方面を進んで左右の見通しを確保できるところで反転するのが安全でしょうね。
でも、それはそれとして確かに見晴らしは良かったです。2度3度来るところではなさそうだなあと薄く思わなくもなかったですが。