■美術館めぐりの合間合間に卒展もみた。最近は美術・デザイン系の発表がアートギャラリーで実施されることが増えていて、あまり馴染みのない大学名も目にする機会も多くなった。学生の作品なので、という書き方は語弊があるけど、ちょっと凡庸なところもあって、でも時折惹かれる作品があったりするので面白い。以前はZAIMというオルタナティブスペースがあって、毎週学生作品を目にすることができて面白かったのだけどその頃を思い出す。
面白いと言えば作品の完成度がジャンルごとにバラつきがあって、工業デザイン系はおおむね完成度が高い。CG関係は技術的には面白いけどデザインが今一歩弱い感じが多い。ショートフィルムは実験的な作品が多くて面白かったり、そうでもなかったり。反面、平面絵画や彫刻、インスタレーションといったアート寄りの作品になると優劣がはっきり出てしまう。技術的なふれ幅の余地が少ないと、製作者の感覚が反映される度合いが強くなり、ごまかしが効かなくなるということかもしれない。
さすがに名のある美大の卒展ほど全体的なレベルが上がっている感じはするのだけど、それじゃあ、あまり知らない大学だと全体のレベルが低いわけでもなくて、きちっと仕上がった作品が一つ二つきちんとある。そうしたモノづくりのセンスは教わって身に付くものでもなくて、個人がもともと持っているものなのだろうなと思う。それはどうしても属人的であることから逃れ得ないものなのだろう。(自分にも作れそうという意味において)凡庸な作品の中に、ぽつんぽつんと光る作品を見つけることができるというのが卒展めぐりの面白いところだと思う。
Copyright (C) 2008-2015 Satosh Saitou. All rights reserved.