■六甲ミーツアートは、六甲山上のリゾート施設を舞台にしたアートイベント。さすがに神戸は遠いのですが、ここのところ遠出続きなので脚を伸ばしてみました。神戸はまだ行ったことがないし。日帰りなので、神戸の街を歩くことはまず無理ですが。野外展示というのは瀬戸内と同じですが、さすがに食べる所に休む所には困らないでしょう。山の上だから涼しそうだし。
新神戸から地下鉄で三宮へ。三宮から阪急三宮。ここの改札で「六甲まやエンジョイパス」を購入。阪急線に乗って六甲駅で下車。神戸市営バス16号線を使って六甲ケーブル下駅へ。改札の天井に何かあるのですが、作品なのか単なるイルミネーションなのか判別できず。
ケーブルカーで斜面を登り、六甲ケーブル上駅へ。ここも天井に何か吊るされているのですが、やはりイルミネーションっぽい。この駅周辺ではもう一つ、展望台にも作品があるのですが、こちらはその展望台でバザーのようなものが開催されていて、鑑賞できるような状況ではなく。六甲山という場所がとても愛されている場所なのだということはそれだけで解ったのですが、あまりにも作品が添え物すぎる。
何となくあまり期待はできそうにないという予感を抱えつつ、山上バスに乗って主会場のリゾート施設へ。
バスを降りてすぐに売店の屋根の上に積まれた作品に気がついたのですが、もともと装飾過剰気味の場所なので、作品なのか装飾なのか紛らわしい。存在感の弱い作品は、たやすく埋没してしまう。瀬戸芸も同じようなオープンスペースの展示ですが、あそこは地元の暮らしや歴史、集落独特の景観という強いコンテキストがあり、それだけに異形な作品は存在感を示しやすいと思うのですが、六甲山上の、特にリゾート施設では何が置かれても不思議ではない感覚があり、ここでの作品展示は難しいのだろうと思います。
全ては見切れなかったのですが、印象に残っているのはランドアートや外部環境と切り離された室内型インスタレーションでした。六甲ガーデンテラスの展望台周辺に多数作られた風車"Red Or White"(藤江竜太郎)や駐車場の下部空間を使った"Upside Down Terrace"(国府理)、カンツリーハウス周辺では、これはは小さい作品ですが"into outer space"(上田尚宏)が周囲の雰囲気とマッチした良作。植物園では"Archive"(柳原照弘)が示唆に富んでいて良かった。温室内部を使ったインスタレーションなんですが、'Cafe LECIPE'とあり、生命倫理への視線を連想させました。同様の作りをしている作品に"六甲山ハウス"(太田三郎)という作品もあるのですが、こちらはパーソナルに閉じてしまった感じで今ひとつ。
全体的に「キレイ」に作られていて、そうなってしまう理由も解るのですが、半面景観に埋没してしまって所在なげに佇むような作品もありました。リゾート施設での展示作品だから、人を驚かすようなものは難しいということもあるだろうし、もっと生々しい話、予算枠の問題もあったのだろうと思います。ただ、瀬戸芸よりはアクセスしやすいし、単純に六甲山からの景観を愉しみつつ歩き回るというのも別に悪くはなかったです。ただ、再訪したいかというと、そこは正直微妙。それぞれの作家作品は街中のギャラリーかオルタナティブスペースで観てみたいなとは思いましたが。