■梅雨明け宣言はまだ出ていないものの日差しは全く夏そのもの。暴力的な日差しを浴びて新橋へ。資生堂ギャラリーで新しく始まった企画展「榮榮&映里 写真展 三生万物」を観に行った。中国人写真家の榮榮とその妻で日本人写真家の映里のユニットによる個展、ではあるけれど、作品の展示会というよりはユニットとその活動拠点である三影堂のプロモーションのような趣が強かった。でも、その活動は確かにすごい。
もちろん写真作品も展示されていて、ただそのモチーフはものすごくドメスティックで、家族や家、活動拠点である三影堂が撮られている。「三影堂撮影芸術中心」が正式名称で「三影堂写真芸術センター」といったところか。榮榮と映里が開設した写真に特化した私設美術館ということになると思う。ウェブサイトによれば暗室施設の提供やアーティスト・イン・レジデンス、若手作家のプロモーション、企画展、イベントと日本国内であれば自治体で運営されている教育機関的施設と活動内容はさして変わらない。
そうした施設を立ち上げて運営しているというのは、いわゆる社会企業家としての活動をしているということで、その運営資金が写真の売却代金などで賄われ、公的資金の援助がないという。三影堂の設立にはアイ・ウェイウェイなども関わっているようだけど、それにしても個人で運営を回しているというのはすごいです。
「三影堂」は老子の「道は一を生み、一は二を生み、二は三を生み、三は万物を生む」から名づけられたとのこと。榮榮と映里が出会いユニットとなって生まれた三影堂、今度はそこから万物を生む、という壮大な夢がそこにあるわけですね。中国の現代写真芸術がそこから発展して欲しいという。
その意味では、彼らの生き様そのものが一種の作品となっていると言えるのかもしれない。二人が出会い、家族を造り、そして三影堂を作ったという。中国は広く、才ある人も多い中、今後も三影堂が中国で中心的な位置にあり続けるかどうかは解りませんが、確かにその軌跡は賞賛されるものだと思います。