■2つのダムを回った後、帰りのバスを待つ時間が1時間ほど。寒い日に待ち続けるのもしんどいので徒歩で戻ることにした。たぶん、歩いても同じくらいの時間はかかると見込まれたので。久しぶりの見知らぬ街歩き。街歩きというか、クロスカントリーぽいと言えなくもなく。
黒杭川ダムサイトから県道7号沿いに、というのは同時に黒杭川沿いということでもあるのだけど、開けた農地の中を歩く。柳井市の商業施設は駅を中心にかたまり、他所のように拡散していない。瀬戸内海を横断するフェリーが発着する港が重心になっているのかもしれない。
7号線は川沿いに伸びて、川を挟んで側道のように市道が延びて、川と反対側は宅地と混在する田んぼ。7号線の路面は田んぼと市道よりも少し高い位置にあるのが面白かった。川が増水した時は田んぼがバッファーになるわけですね。
柳井市街に近づくと、「白壁通り」の標識が目に入りました。古い街で「白壁」といえば、それは古い商家の通りというのが相場で、商家通りと言えば例えば昨年も伊勢市で伊勢河崎の商家通りを見ていますが、あちらはかろうじて現状維持できているという風情が少し痛々しくもあった。でも、観光バスの誘導標識もあるくらいだし、どのみち駅への途中だし、と寄ってみることにした。
やない駅前の通りを見た時に感じたのは、こぎれいにこざっぱりと整理された町並みという印象で、その印象は「白壁通り」も同様。観光資源として整備されている感じだけど、面としての広がりはない感じ。駅前の目抜き通りをまっすぐ進み、橋を渡った先にあって、軽くテーマパークっぽい景観。
こざっぱりとした通りは、居心地のよい場所ではあったのだけど、いかんせんお腹が空いていて、そしてどういうわけかこの街には食べるところがすくなさそうだった。女の子向けのかわいい小物アクセサリーを売る土産物屋は多いのだけど、食べるところが少ないというのは、ここに長期滞留する人はあまりいなくて、みんな他所で食べるということかしらん。
どうしたものかと白壁通りを奥まで歩いていったら、「自然薯らーめん」ののれん。さっきは「自然薯栽培発祥の地」の看板もあったし、名物なのでしょう。そういうわけで、というか、他に店もないことだし、入ってみました。
入って既視感を覚えたのは、健康食品がずらっと並んでいることで、以前金沢でも見たぞこういうお店。もちろん、チェーン店なわけはなく、女性をターゲットにヘルシーを売りにしているのでしょう。さっそく自然薯ラーメンを注文。出てきたのは一見とんこつ風。
ただ、食べてみるとラーメンとはだいぶ趣が違う。「ラーメンの缶詰」の麺はこんにゃくだけど、自然薯ラーメンはそこまではいかないけど、小麦の麺とは明らかに違う。ちょっと変わった味で、別に悪くは無いのだけど、みてくれがとんこつラーメンみたいなので、そのビジュアルとのギャップに戸惑う。スープも酸味があって脂っぽさが無くさっぱりした感じ。あんまりにも脂っけが無くあっさりしすぎて物足りない感じがしなくもなく。おやつっぽいメニューでしたけど、女の人には十分なのかな。
歩きすぎて足の裏に小石が入り込んだ感覚。この感覚には覚えがあって、これは足の裏にまめができる兆候。ちょっと歩きづらくなった足をかばいながら駅に戻るとタイミングよく山口行きの便が到着するところだった。携帯電話の歩数計機能で確認してみると歩行距離は12キロほど。さすがに今の靴ではこんな距離を歩きとおすのには向いていない。どうしようかなあと電車に揺られながら考えていたら、眠くなって面倒くさくなってしまった。