■森センターアートギャラリーでラファエロ前派を観た直後に今度は森美術館のアンディ・ウォーホルの回顧展。ウォーホルは昨年国立新美で観ているのですが、そちらはアメリカン・ポップアートということでグループ展ではありませんでした。今回は回顧展なのでウォーホルのみ。ただ、それにしてはちょっと寂しい感じもしたのですが。
ウォーホルというコンテンツでは今回初めて見ることができたのは、写真と映像作品、ほかに「タイムカプセル」としてまとめられた私物類。シルバースタジオも再現されていたけれど、全体としてなんだか薄い感じ。
ウォーホル展を観る前にJ-WAVEの番組でもウォーホルの話題があって、その中でウォーホルとクリスチャン・ラッセンやヒロ・ヤマガタとの違いが解らないんだけど、実物をみるとやっぱり違う、という話があって、確かにそれは同様に感じました。色使いが独特なんですね。肖像画とかキャンベルスープとかいろいろあるけれど、結局は配色の妙であって、ドルマークやフラワーといった造形は配色を行うための素材でしかないような感じもしました。
それにしても、ウォーホルという人は自分大好きというか、面白かったのは海外旅行に行った時のスナップで、彼がカメラを持った写真はあるのですが、彼が撮影したスナップが展示されていなかったことです。ウォーホル自身が三脚立てて自画撮りしたというならともかく、撮影したのは別の人と思われ、そうなるとウォーホル自身も作品の素材ということになります。
今回の展示はそうした「ウォーホルの作品」というより、ウォーホルという人物の表層を追いかけているような感じがしました。本名をウォーホラを「ウォーホル」として隠し、セルフプロモーションに徹していた、という意味では確かに「ウォーホル」という一つの作品なのかもしれません。