■ふらっと京橋へ。資生堂ギャラリーや原美術館では森村泰昌の企画が組まれていますが、さすがに最近あちこちで観すぎていてそちらはちょっと敬遠気味。LIXILギャラリーへ足を運んでみました。その日は現代美術個展では入谷葉子「追憶ハネムーン」が開催中でした。どことなく昭和っぽい景色がビビッドな面で構成された明るくて、でもどことなく垢抜けない景色は確かにどこか懐かしい。
色鉛筆で塗りわけられてフラットにされた画面は明るく、しかし多少どぎつく、墓場の景色でさえ何か祝福されているような空気を感じさせる。過去の記憶を再構成する手法は1つ前の企画展「羽山 まり子 ーマイホームー」も同じだったけど、作品から感じる当時の景色への距離感は入谷の方が近いように思う。「追憶ハネムーン」という言葉の選び方からくる印象にも左右されているかもしれない。二人とも昭和の景色を扱っているけれど、それが昭和というのは世代的な問題で、いずれ同じモチーフを扱ってもそこに登場する景色は平成になっていくだろう。ただその追憶の中で扱われる景色に付ける名前をわれわれはまだ持たない。

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