■都現美に久しぶりに行ったような気がする。夏休みも終わって東京都現代美術館の企画展は「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」と「東京アートミーティング(第5回) 新たな系譜学をもとめて‐ 跳躍/痕跡/身体」 ミシェル・ゴンドリー…、ミュージックPVや映画監督、脚本家を担ってきたミシェル・ゴンドリーの個展。以前MOTが夏休みによく開催していたジブリ映画企画と似ているところがあるけど、今回は少し年齢層が上かもしれない。内容も映像作品を制作するワークショップが中心となっていてこれまでの展示とはずいぶん毛色が違う。「東京アートミーティング」は毎年恒例で、今年はいわゆる「身体性」にフォーカスして、コンテンポラリーダンスと伝統芸能の狂言を組み合わせ野村萬斎氏を大きくフィーチャしている。日本からの文化発信という点で、狂言を取り上げたのは悪くないと思うのだけどその取り上げ方がちょっと異様な感じはしました。狂言ではなく、野村萬斎個人をカリスマ的に持ち上げていて、それは確かに解りやすいけれど美術館の展示としては何かずいぶんエンターテイメントに寄っているように感じました。むしろ、伝統芸術に属する個人を現代美術の枠内で取り上げるために身体性を持ち出したのではないかという気もします。
それに対して常設展示の「コンタクト」はテーマの設定が少し無理矢理な感じがしなくもなかったのですけど、いつも通りの常設で面白かったです。展示の軸になるようなテーマはなく、作品の特性に合わせて複数の作家作品を組み合わせるものです。作品の見方となる切り口の置き方を提示していると言っても良いのかもしれません。個人的に好きだったのは最後の部屋に展示されていたサム・フランシスの作品でした。躍動的に踊る鮮やかな色は、眺めていて飽きませんでした。ファインアートという側面では、自分の趣味嗜好というのはかなりはっきりわかっていて、ビビッドで躍動的なものにまず惹かれます。視覚的な刺激の強いものに反応しているだけかもしれませんが。
今回の常設展示はテーマの設定上、全体としてとりとめがない感じがしましたが、反面、さまざまなバリエーションの作品に広く触れることができるので自分の趣味を見つけられるようで面白かったです。