■先日行った伊勢現代美術館のある南伊勢町のあたりというのが、こう言ってしまってはカドが立つかもしれないが、なんともいい感じな鄙びた感じだったのでまたもや行ってみた。ただ、またもや伊勢市からバス移動というのも芸がないので、別ルートでアタックすることに。
先日行く前にいろいろ調べていて気がついたのですが、美術館の最寄にあるのは南勢野添というバス停なんですが、その800メートルほど東隣に五ヶ所バスセンターというものがあり、こちらの方が市外とつながるバスの本数が多い。多いっても日中1時間に1本あるかないかなんですが、南勢野添の方は半日に1,2本あるかないかなので、違うっちゃあ違う。バスは伊勢市駅からよりは、志摩磯部バスセンターからの方が本数が多くて、地図で見てみると北の伊勢市駅よりは東の磯部の方が近くて、そりゃ多いか。おまけに名古屋方面からだと所要時間こそ若干延びるものの、交通費はむしろ安くなる。なんかいろいろと微妙ですな。
五ヶ所ではお昼の調達が致命的とも言える問題なので、お昼は志摩磯部駅前で探すことにした。志摩スペイン村が近いこともあってか、食べ物やさんがあることはウェブで調べて解っていたし。そうなるといろいろなタイムスケジュールは磯部でいつ昼食を採るかという問題から逆算して組み立てられることになる。お昼前に食べて12:14発のバスに乗ることにした。名古屋は9:10か9:25発の特急に乗って、志摩磯部には11時過ぎに到着。多少寝不足でも一眠りして目が覚めてまだ着いていない、とそういう感じですな。
磯部では駅から15分ほど歩いて川うめという料亭のようなところへ。うなぎ料理がメインで、入ると2階の個室に通されました。川うめ丼を注文。ちょっとぱりぱりな感じに焼いたうなぎを短冊状に切って丼の上に敷き詰め、その上に細切りの海苔を散らしてあって、そこへタレにわさびを溶いたものをかけるという按配。エビフライとのセットメニューもあったのですが、量的にはフライはなくてもいいかな。
個室で居心地が良かったのですが、バスの時間が迫っているので早々においとましました。こちらの土地の気質なのかもしれませんが、お店の方が親切で車で送りましょうかと。ただまあ、歩いて大した距離ではないし、歩く道すがらの景色を見ておきたいということもあって、ご遠慮させていただきました。自家用車の移動はポイント・ツー・ポイントになって、途中の景色が抜けてしまう。
お店の方には磯部バスセンターからバスで五ヶ所に行く旨お話ししたのですが、ピンとこない様子だったのが印象的でした。バス移動というのがあまり意識されていないのかな。
磯部バスセンターから五ヶ所までは20分ほど。山並みを幾つか越えると、磯部で78.1MHzで受信できていたレディオキューブ(FM三重)はきれいにフェードアウトしてしまう。やがてバス前方の視界が開けると、そこは湊町、五ヶ所浦、ということになる。
バスは比較的人口の集中しているエリアの周辺を巡って、小学校や病院前を通過する。落ち着いた町で、建物の密集度は低い。拡散している感じがする。三重県南伊勢町の人口は1万7000弱。自分の本拠に近い東戸塚駅を東西に挟む2つの町、品濃町と川上町の人口を合わせると1万8000程で人口規模的には似通っている。しかし似ているのはそこまでで、東戸塚駅周辺の郊外の入り口のような中途半端に都市開発された景色もここでは遠い。物理的にももちろん遠いのだけど、リソース集積の規模が遠い。
もちろん、だからこそ残された景観というものがここにはあるのだけれど、ただ、それもいつまで見れるのだろうとも思う。ここは負圧が強い。