■梅もほころぶころに水戸の芸術館に。開通間もない上野東京ラインで品川から「ときわ」に乗って水戸へ。開通間もないと言っても路線的には単に東海道線が上野に延長してそのまま常磐線に乗り入れる恰好だから特に新鮮味があるわけでもなく、でも、今までは品川、上野で2回乗り換えていましたから品川の乗り換え1回で済むのは確かに楽です。あたらしい「ときわ」「ひたち」は全席指定で自由席が無くなりましたが、えきねっとでのチケットレス予約で、乗車券はSUICAで処理すると、指定席券を事前に確保しに駅に行く必要もなくなり、だいぶ楽になりました。
水戸芸で新春に始まった展覧会は山口晃の「前に下がる、下を仰ぐ」。山口晃氏の展覧会は2年前のそごう美術館「付り澱エンナーレ老若男女ご覧あれ」以来です。
そごう美術館の展示は絵画あり、インスタレーションあり、ビデオ作品ありでしたが、水戸芸の作品はずっと絞られた展示でした。日本古来の美術スタイルを拝借しての作品は、元々の日本画を知っていればもっと楽しめるのはずですが、そちらの知識は疎くて残念でした。ユーモラスな作品で、中には皮肉を込めた作品もあるのですが、それすらも笑ってしまう。
「前に下がる、下を仰ぐ」というあべこべな言葉をつなげたタイトルはそのまま展示に反映されていて、会場順路は奥から手前に誘導されるよう、意図的に導線が設定されていました。作品も順路的には後ろからさかのぼるように配置されていて、ふつうの展示であれをやったら批難轟々だと思うのですが、展覧会タイトルを反映させたと思えば、まあ、そういうものなのかなと。ただ、それが面白いかというと別に面白くはなくて、会場のスペースを無駄にしたのではないかという気がしなくもないです。
作品で面白かったのは単純な話ですが「続・無残之介」というマンガが面白かった。時代がかった絵柄で時代不明な、伝奇的な時代小説をマンガにしているのですが、これが単純に読ませる。最初は大ゴマというか一枚絵なのですが、だんだんふつうにコマ割りされていってマンガになっています。バカバカしくて良かったです。