■ずっと家電制御デバイスを作っていたので、ちょっと気分転換したくて音ものを作ろうと思った。ちょうど文房具店をひやかしていたら手ごろなサイズのカンペンケースがあったので、それに収まるUSBオーディオがあると面白いかもしれない。スピーカーも何とか収まりそうだ。
とりあえず手ごろなUSB-DACを探す。USBオーディオI/Fのキットは幾つかあるのだけど、そのうちバスパワーが使えて、基盤サイズが小さくて、いろいろと拡張できそうな(実際にやるかどうかは別として)キットを探して、エレキットのPS-3249を選んだ。
この基盤にはオーディオミニプラグが乗るけど、スピーカーを鳴らすには出力が足らない。もともとUSB接続だと利用できる電流は(USB2.0で)最大500mAだから、5Vx0.5Aで最大2.5W。USBハブなどを間に介すとたいがいのハブは500mAをポート数で割ったものがポートごとの電流制限値にしている。ありふれた4ポートのハブでも0.5W程度にまで落ちてしまうわけで、別途外部電源を持たせたアンプ回路を外付けしたほうがいい。電源には利用しやすい5Vのスイッチング電源を使いたいので、あまり電源品質に左右されないD級アンプがいいだろう。
D級アンプのキットもあるけど、PAM8402という手ごろな石を見つけた。ワンチップのD級アンプで2W+2W。オーディオ入出力のフィルタ回路を追加すれば出来上がり。キット並に簡単そうだし、実装面積も小さくなりそうなので、これを出力段のアンプにすることにした。PAM8402はPower Analog Microelectornics社製だけど、メーカーサイトには同製品のデータシートがない。ネット上のアーカイブに残っているデータシートを見てみると、雰囲気的にはもっと高出力で効率の高い後継製品に代わっているようだ。
まずエレキットのDACキットを組み上げた。部品点数が多いこととセルフパワー/バスパワーの切り替えに使うジャンパ線があちこちにあって配線時の確認がしにくい。最初USBに接続して全く認識されなかったので戸惑ったのだけど、デバイスとして認識されないのはDACの石との接続がおかしいわけで、回路図からたどってジャンパ線などの確認をすることができた。
PAM8402は昔オペアンプを使った小さなヘッドフォンアンプ回路用のユニバーサル基盤がまだあったので、それを使った。SOP14の変換基盤に乗せてからオーディオ入出力回路用の部品を配置し、あとは一気にはんだ付け。データシートにあるサンプル回路では部品の定数がそろっているのであまり悩むこともなく組みあがった。
あとはスピーカーをつなげてバラックとしてはできあがり。しばらく音出ししてエージングをしながら、回路の改修やら缶に詰め込む工作の方法をあれこれ考えてみようと思っています。