■八戸から仙台へ。東京に戻る途中ということもあるけれど、ここにはせんだいメディアテークがある。あいにく現美関連の企画展は行われていないけれど、まあ、せめて噂に名高い建物だけでも一目拝んでおきたかった。
八戸の空気は白く乾いていたが、仙台は潤っていた。いたるところで巨大な街路樹が目に入るからかもしれない。仙台に着くなりまず仙台ホテルにチェックイン。荷物を部屋に置いて、デイパックとウェストポーチという軽装で仙台駅前に取って返す。るーぷる仙台という市内循環バスが目当て。
仙台は初めてなので市内の様子を流して見るにはちょうどいい。駅前はそれなりに厚みのある商業施設が集中していて、西へ進むにつれ、間延びすることなく町並みは郊外型の学園都市へ変貌していく。仙台駅西部は青葉山を縁に持つ丘陵地域に平野部を圧迫されて、コンパクトにまとまっているような印象。住宅地がスプロールしなかったのが良かったのかもしれない。駅前の表情だけなら、渋谷とか川崎とか、あるいは名古屋の栄付近とも似通っていると思うけれど、妙に水っぽい感じがする。
るーぷるでとりあえず青葉城跡。別にここはいいかなと思っていたのだけど、巡回路の途中にあるので、とりあえず見ておけ、的な。伊達政宗像以外は見るものはないんですが、どちらかと言うと、ここの展望台から見る仙台駅方面の景観が見物かも。宮城県は西に奥羽山脈という背骨を持ち、そこから広がる山岳・丘陵地帯が太平洋へ流れ込んでいるような地形を持っていて、仙台駅のあるあたりは平野部と丘陵地帯の際になっています。展望台から見えるランドスケープはもちろんその様子を水平に見る格好になっていて、奥羽山脈から緑が市街へ流れ込んでいるようにも見えます。道理で潤っているわけです。
ふたたびるーぷるに乗って、今度はメディアテークへ。せんだいメディアテーク(smt)はガラスの箱でした。明瞭な柱・梁という構造を持たない建物ですが、柱・梁に相当するものが無いわけではなく、無数のパイプが上下の支持構造になっています。出来上がった建物については建物として成り立つ理屈は解るのですが、どうやって作ったのだろう。シャフトそのものは傾いて見えるけど、重心はシャフトの外には出ないで、自立するのかな。
smtには例によってナディッフが入っているのですが、建物を出て隣にもセレクトショップ「杜間堂」があります。焼き物・ガラス器を主に扱う店舗とギャラリーを持っています。訪れた時は間が悪くギャラリーで展示は無し。ここでは千田玲子さんの平皿を購入しました。素朴な風合いというか、乾いた土のような表情を残している焼き物です。
一点ものの焼き物では南伊勢現代美術館系列のEMONでも購入したことがありますが、作家さんの年齢層が違うのか、ちょっとポップなところがあって、自分よりも少し若い人向けかなあとか思ったりもしたのですが、「杜間堂」さんのセレクトはだいぶ落ち着いた感じでした。通販が無いのが残念だなあ。