■去年観た時は面白かったのだけどなあ。吉島南部を広く歩いた前回と違い、今回の会場は割とこじんまりして、作品も少なく。去年観た作品群のようなインパクトはあまりなく、ごく、普通と言えば普通。ただ、何よりも異様に暑かった。あまりにも暑すぎて感受性がダウンしていたのかもしれない。
去年は雨の中を歩いたのだけど、今年は炎天下。広島駅前でバスに乗って吉島町公民館へ。会場は公民館敷地内に運び込まれたコンテナや組み上げられたブースを使っているのだけど、何より8月から続く猛暑に炙られたコンテナは暑い。換気もないし。
ホワイトボックスと言えば確かにそうで、面白い雰囲気を持ってはいたのだけど、展示作品はコンテナ内部に合わせて制作されたわけではなく、単に展示されているだけ。面白かったのは印刷工場の風景をそっくり移設した作品だったのだけど、これも再現性が高すぎて、コンテナの中に納まっていることもあって、移動式印刷工場のように見えてしまう。そこがどういう雰囲気を持った工場だったのかは漠然と伝わるけれど、ドメスティックすぎる感じがあって個人的には今ひとつ。
他にプラモデルのミサイルを使った作品があって、広島から北朝鮮へ、という不穏なものだけど、それはまた別の話として、安易な印象は免れず。
総じて全体的に印象に弱くて、昨年と比べてしまうとだいぶパワーダウンしているような。30分ほどで観終わってしまい、野外展示会場を後に。吉島からバスに乗って紙屋町へ。そこから広島バスセンターへ移動して、広島市立大学へ向かうバスに乗り換え。
広島市立大学内の芸術資料館で「検証」として過去のプロジェクトの総括や他の美術系大学で行われている街中のアートプロジェクトとの比較。なのだけど、建物の中に会場に使われている部屋へのガイドが無い。学外の人間にはどこで展示されているのかさっぱりで、プロジェクトに参加している団体の名を建物内の部屋割り表から探して、どうにか見当がついた。
展示はいわゆるパネル展示で、過去のプロジェクトの実績と、よその大学のプロジェクトの実績紹介。ただ、「検証」にしては何を検証しようとしているのかが不明で今ひとつ。もともと「吉島」という広島市内の中でもインフラ整備の遅れていた地域の活性化のような意図があったと思うのだけど、そうした点については触れず。
ちょっと驚いたのは昨年のプロジェクトに訪れた来客者数が900前後だったことで、これはちょっと寂しい。面白かったのに。もしかして、今年の展示が縮小してしまったように見えるのはこれが原因なのかなと思ってみたり……。頑張って欲しい。