■東京国立近代美術館で始まった「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」展。台湾のヤゲオ財団の現代美術コレクション展で、東京国立博物館の「国立故宮博物院展」とセットになっているのだと思う。古美術だけでなく、現代美術の有数のコレクションも台湾にはあるのだ、ということなのでしょう。
コレクションに連なるのはウォーホル、フランシス・ベーコン、杉本博司、ロン・ミュエク、マーク・ロスコもありました。いずれもどこかの展覧会で見かけたような作品が多かったのですが、一方で中国系アーティストのコレクションがあり、どちらかと言えばそちらが面白かったです。
ちょっと面白かったのはコレクション展そのものへのスタンスで、「テーマのないコレクション展はつまらない」とあるのですが、コレクターが集めたコレクションの展示という企画はここ数年幾つかの美術館やギャラリーで行われていて、あまりピンときません。
テーマがなく、趣もさまざまな作品がひとところに集められていると、確かに美術展としては散漫な印象になってしまうのですが、自分が気に入る作品の方向性みたいなものが解って、それはそれで面白いです。
過去にあったほかのコレクター展と違うのは、最後に「コレクション評価額ゲーム」があることでしょうか。美術作品が持つ経済価値の側面は否めないわけですが、値付けの高低と自分の趣味とはまた独立しているわけで、どんなに高くても自分には価値がないという作品はもちろんあるし、市場評価は低いけど自分にとって価値のある作品というのもまたあるわけです。
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