■千葉県佐倉市にある川村記念美術館はだいぶ久しぶり。基本的に常設展示が中心で、企画展も半年単位の美術館。今期は中西夏之の回顧展。1960年代頃の初期作品と2000年以降の新しい作品が並置される。若い頃の作品(『韻』シリーズ)は力強く訴えかけてくるものを感じるのだけど、最近の作品から荒々しさは消えて、柔和な印象をうける。面白いのは画面の構図そのものはあまり変わらず、描かれるモティーフが柔らかいものに変化していることだった。
たぶん、描きたい構図というものがドグマのように作家の中にあって、あとはその構図をどのように表現するかということではなかったかと思う。2000年以降の柔和なドローイングは「円熟」ということかもしれないけれど、その筆致は新しくなるにつれて力を失っているようにも感じられ、少し残念な印象も受けた。
それはそれとして川村記念美術館が難しいなと感じるのは「食事」で、佐倉の街は国道沿いに拡散してしまっていて、電車で来ると食べるところに困る。弁当を持ち込めたらいいのだけど、敷地内は飲食禁止だし、レストランは高めだし、なかなかうまくいかない。美術館の近所に飲食店ができてればいいのだけど。
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