■千葉市美術館は今回が初めて。千葉駅で降りて駅前に広がる比較的規模の大きな商業区画のはずれにある市役所の上層階が美術館になっている。土曜日なので、当然役所はお休みで美術館だけオープン。中心市街にある美術館で、室内のあつらえがオフィスビルっぽく、どことなく新宿の東郷青児美術館と似ていました。
「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は、デュシャンと瀧口修造の交流を軸に、滝口をハブとした60年代頃の美術家への展開が展示される。美術作品の紹介というよりは、美術史の説明展示になっていて、勉強になりました。
デュシャンの作品はここ2年ほどの間であちこちの美術館で目にしていて、その点ではあまり新味はなく。あちこちで目にしたのは、国立近代美術館をはじめとして国内にある程度のストックが存在していて、それが今まとまって巡回しているからではないかと思う。ただ、デュシャンに特化したのは千葉市美術館で初めて見ました。
ちょっと驚いたのは、作品以外にも瀧口修造のデュシャンに関連する資料展示が多く、コレクターとはこういう人のことを言うのかと思い知らされました。それらの資料からわかるのは瀧口のデュシャンへの傾倒ぶりで、ただ、デュシャンが瀧口をどういったポジションに捉えていたのかはわかりませんでした。
瀧口は日本の現代美術界で発言力を持つ存在で、その彼がデュシャンに強い影響を受けていたことは、国内での美術家たちの活動にも少なからず影響を与えていたのだろうと思います。宮脇愛子、荒川修作、岡崎和郎、赤瀬川原平といった方々のお名前は、それぞれ個別の存在として自分も知っていたのですが、それが瀧口の人脈の中でつながりがあることが解りました。今まで点として認識していた名前がつながって面となった感じ。
60年代という時期は、大阪万博があったり、読売アンデパンダン展があったりと、様々な拡張していくトレンドが解放されていた時代だったのだろうと思います。先日の「メタボリズム」もその時代と重なるわけですが、新奇性があまり抵抗無く受け入れられていた時代であったために、デュシャンという先鋭的な存在が受け入れられ、広められていったのではないかと思います。