■年度替りを控えた第一四半期は各地にある美術館のスケジュールが細ってきていて、上手い具合にスケジュールを割り付けるのが難しくなる時期。それとは別に本来の仕事の都合も出てくるものだし。
本当は金沢の金沢21世紀美術館で始まったホンマタカシ展を観に行く予定だったのが仕事の都合でそちらはキャンセル。1泊2日の予定だったのだけど、日帰りならなんとかなるのであちこちスケジュールを調べて北九州市立美術館で荒川修作の回顧展が開かれていることを知った。行ってみよう。
小倉で降りるのは久しぶり。日程を選ぶことができなかったとはいえ、雨がふったり雪になったりという生憎の天候にややうんざり。当然寒いし。小倉駅前から3番バス停で22番路線「黒崎」行きに乗り、まずは「七条」へ。バスは小倉駅前の市街を抜けて川沿いの郊外へ。七条バス停で下車して、反対車線側のバス停脇にある美術館のシャトルバスバス停で、マイクロバスに乗車。七条行きのバスは10分間隔だし、シャトルバスは20分間隔と結構便利。
美術館は山の上。暖かい季節であれば、歩いても良かったかも知れない。広島市現美も山の上だけど、比治山は樹木の勢いが強い中にあったのに対して、北九州市美の山は整備がされて開けている感じ。建物はだいぶ大きい。やたらと大きい、と言った方がいいのかもしれない。
展示室や付属レストラン、増設されたアネックスとのつながりがちぐはぐで、場所を持て余している感じがしました。レストランは高台から市街を見下ろす格好で、見晴しは良かったです。
荒川修作の回顧展は、同美術館収蔵作品である「意味のメカニズム」シリーズの展示。過去何回か荒川修作の作品は眼にしていて、幾何学が描かれた中に言葉が書かれていて何のことやらとぼんやり思っていたのですが、一連の作品を見てようやく解りました。今更。
絵を見て、そこに描かれているのは「何か」を言語野を通して「理解」に至るわけですが、そのメカニズムを表現しようと試みた作品、ということでしょう。同時展示の常設作品は「白樺派」にからめての日本画、洋画の作品展示だったのですが、広い展示室の中に作品がぽつ、ぽつとある感じで少々寂しい印象も残りました。
北九州市美は駅から遠いので敬遠していたところはあったのですが、実際にはバスの本数がかなり多く、さほどアクセスが悪くないのは意外でした。シャトルバスの運行にしても、それほど利用者が多くはなさそうなのに本数はそれなりに確保されていて、来館者の動員に努めていることが伺われます。あとは、やっぱり展示内容なのかなあ。とにかくだだっ広い割には微妙に作品が少ない気がするというのがちょっと寂しい印象を残しました。