■埼玉県立近代美術館という名前はだいぶ前から知っていたのですが、企画展が今ひとつな感じがしていて行かないままでした。いつの間にか改装工事に入っていたということも知りませんでした。その工事も先日終わり、新装のお披露目として始まった企画展が「Private Private」です。近代から現代にかけての作品展示のようなので見に行きました。北浦和はちょっと遠いですが、千葉市美に行くのと同じくらいでしょうか。 北浦和駅の西口に出て駅前の通りをまっすぐ行ったすぐ先にある公園の中に美術館はありました。文京地区的な作りを目指したのかもしれません。住宅地に隣接した駅前美術館という作りは練馬区立美術館を思わせます。
Private Privateはリニューアルした美術館自身にフォーカスして埼玉近美のコレクションを中心に構成するという、常設展示の拡張版のような恰好になっています。小品が中心というか、さすがに横山大観や常設側にまわっていたモネやシャガールなど目玉になる作品がいくつかありましたが、自分が見ようと思っている現代美術になるとちょっと弱い感じも。ジェームズ・タレルの「フォンブース」という作品は体験型で、視神経をハックする感覚が面白かったです。タレルというと金沢21美の「タレルの部屋」的なものしか知らなかったので、このタイプの作品に触れることができてよかったです。
他には草間彌生やマルセル・デュシャンのコレクションなどありました。これらも他所の美術館では見覚えがなかったので、ここで見ることができてよかったです。面白いと思ったのは県外との連携があるのかないのか、あってもかなり薄いのではないかと感じたのですが、神奈川近美でも他都道府県の美術館企画のフライヤーが並ぶのは珍しくないし、それが情報収集の一手段なのですが、埼玉近美の場合はあっても京都の美大のものでした。常設展にも「埼玉の景色」というキーワードが使われていたりして、ドメスティックな志向が強い美術館なのかもしれない、などと思いました。