■年明けて初めての初台。東京オペラシティアートギャラリーとICC。先日の横浜美術館、高嶺格「とおくてみえない」展の半券チケットを持っていったら割引。TOCAGのチケットでさらにICCが割引と割引の連続コンボ。
東京オペラシティアートギャラリーは曽根裕「Perfect Moment」。混沌としたジャングルと大理石による彫像の組み合わせはJ.D.バラードの「結晶世界」のようでもあり。彫像作品のひとつ「木の間の光」は木々の中で輝く光を大理石に刻んだもの。一瞬を永遠に封じ込めた姿が生気あふれる混沌としたジャングルに囲まれている。時間のないカオスから封じ込まれた一瞬の点へと絞り込まれるフィールド。なんだけど、「木のあいだの光」「観覧車」「6階建てジャングル」の組み合わせがシュールではあるけれど、なんとなくゆるくて、会場で観た時は今ひとつ締まらない気がしていた。会場の広さに対して作品の点数が少ない印象があり、妙な間が全体にあったように思います。
会場で一番印章に残ったのは最後の「木のあいだの光#3」。年輪の刻まれた切り株と、輝く光の透明な彫像。星霜を表す年輪と一瞬の光が永遠に刻まれ、その展示場所では照明が昼と夜を表すように光で二分されている。陰と陽、永遠と一瞬。切り出された世界の相がそこにある。
「Perfect Moment」展を観終えた後、収蔵展とProject Nへ。収蔵展のテーマは「ゆきつきはな」新年らしく、雪月花をモチーフにした日本画展で冴え冴えとした景色が並ぶ。普段なら写実の日本画には興味が沸かないのですが、緊張感のある画面が揃いかなり壮観でした。ただ、中には豪華絢爛に金を大胆に使った作品とかあって、そういうのはやっぱり好きじゃない。
Project Nは吉田夏奈。夏山のパノラマが展開されるが、その視点は定点でパノラマ撮影をして得られたような景色ではなく、山地を移動しつつ得られる景色が連続して作られた、いわば作家の中にある山の景色が展開されている。そのサイズも半端なく大きなもので、TOCAG2Fの廊下いっぱいに連続して続く。
その景色は収蔵展の日本画とも連続しているし、吉田自身は曽根裕と関連があり、その意味で全体としてよく構成されている。