■原美術館で蜷川実花の写真展。美術館の正門から入口までのアプローチに贈花が並んでいるのは初めてみました。蜷川の写真というとデビューしたときの爛れたように赤い金魚の写真の印象はいまだ忘れがたいものがあります。今回のSelfimageはあの時の熱量は表向き下がったようですが、その熱は内向きに籠っているようでした。身体の生々しさ、官能性はストレートに出ていますが、それとは違うベクトルが、散った桜の花びらが川面を流れていく荒々しいイメージにあったように思います。
先日資生堂ギャラリーで観た荒木経惟の往生写集は枯れた味わいの中に残るエロス、といった感じでしたが、こちらはまだ枯れたわけではなく、ただ、枯れ行くことを予感しているような印象が残りました。
Selfimageではそのタイトル通り、セルフポートレートもあったのですが、そちらはちょっと苦手。面白いもので、インスタグラムの氏のアカウントで観るポートレートは別に抵抗ないのですが、写真展として改めてみるのはなんか苦手です。セルフポートレート、というコンテンツとそれに接する回路の問題かもしれません。
1Fにはペットショップで捕らわれているウサギや子猫、標本ピンでさされた蝶など、捕らわれた弱い生き物を捉えた写真が多数。ただ、そのイメージは直截的で、既視感もあります。川を流れていく桜の花びらがやはり自分の好みでした。
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