■横浜は再び卒展の季節。馬車道から赤レンガ倉庫にかけて各美大の卒展が始まった。以前、Zaimがギャラリーとして機能していた時はよく学生さんの作品を観ることができたけど、今はこういう機会でないと観ることができない。
藝大の卒展は残念ながら見逃してしまって、今回観たのは多摩美の映像学科と女子美の硝子・陶器のグラセラミック展。多摩美の卒展はコンセプトはわかるけど、なんか今一つ締まらないような、もう少し丁寧に作ってあれば、とか、もう少しディテールがあれば、とか、全体的に自分とは合わなかったようです。パフォーマンス形式のものが多かったので、丹念に観ることができなかった自分も悪いとは思いますが、どうしても新美の「Domani/アーティストファイル」を観た直後ということもあって、自分の中で狭まっていたみたいです。
女子美の「グラセラミック」は今回は地下鉄馬車道駅直上にあるクリエイティブセンターという恵まれた立地。建物そのものが整然としたコンテキストを持っているので、もともとすっきりした作品の多い(ような気がする)同展には向いていたのかもしれません。
こちらは完成度が高く、プロダクトのような作品が多い。反面、何か作品の背後の広がりを感じさせる作品は少なかった(ないわけではない)。どれもどことなく可愛い感じがしました。
現代陶芸作品はLIXILギャラリーで定期的に観ていて、そちらと比べてしまうと、造形としてはオーソドックスなところにまとまっていておとなしい感じです。強いて言うと生田目響子さんの「山路」の荒々しい表現や、戸田衣美さんの「~遠い日の約束~」の有機的な、なんかエロチックな感じもする造形がアート志向的な印象を持ちました。インスタレーションとしては江川玲子さんの「日曜日の昼下がり」が手堅くまとまっていたけど、アフタヌーンティーの連想は手堅すぎるようにも思いました。
面白かったのは堂々とした存在感を出していた八木緑日里さんの「黒山羊」や、ユーモラスな情景を作り出している百瀬陽奈さんの「オオジャコウウシの村」でしょうか。「オオジャコウウシ~」はもうちょっとディテールがあると良かったのかな。
情景といえば川島莉沙さんの「ゆめをみている」の完成度がとても高かったです。広がりを感じさせる情景も見てみたいと思いました。