■千葉県立美術館の夏休みは「光のアート」展。タイトルからしてメディアアートのインスタレーション作品展示ということは見当がついて、あとは参加作家の名前から、なんとなくICCの常設やIAMASの卒展ぽい感じをイメージ。夏休みだし、まあ、子供向けなのかな。
千葉県立美術館は京葉線ちばみなと駅から徒歩10分。初めて行く場所なので不安があったのですが、行ってみるとざっくりした道の官庁街で、大通りをちばポートタワーに向かって歩けば出くわす解りやすい場所でした。
「光のアート」展の展示作品はだいたい予想通りの内容。目録など見ると発表年度がそれなりに古いので新規性を感じないのは仕方ないことかもしれない。展示方法も一部まずいものがあって、なんとなく今ひとつ。小さい子供は概ね喜んでいたので、その意味では成功していたと思う。ただ、大人の方はギミックが見えてしまうので、すぐに飽きてしまうようだ。それは自分も同じなのだけど。
面白かったのは「Air's Song」と「10番目の感傷」、「幸せはそこにある」の3作品。「Air's Song」は透明チューブの中で下から光に照らされた羽が上下に動く。チューブ内で下から吹き上げる風量で羽の位置をおおむね調整するのが精一杯で、レスポンスもよくなく、位置決めの精度も悪いというところがネックになったか。単に羽が上下するだけで単調になってしまったのが惜しい。
クワクボリョウタの「10番目の感傷」は眼にするのは2回目だと思う。制作されたギミックそのものは身の回りのがらくたっぽいものを並べた中を、豆電球を載せた模型の列車が走るだけのシンプルなものでしかないのだけど、見ものはその移動する豆電球の光が作り出す影になる。影を作り出すものは身の回りにあるささやかなものでありながら、作られる影は未来的な都市景観となる。そのギャップが懐かしい未来を感じさせる。今ら来たらざりし未来の夢。
「幸せはそこにある」もインスタレーションとして良くできている。会場から出口までの通路の途中に乱雑にテレビやら古雑誌やら積み上げられて、そのテレビに猫が映っている。そのテレビの中の猫をじゃらすと猫が移動するインタラクティブな作品。見たことがある作品ではあるけれど、美術館展示作品ぽくない作品であることを含めて面白い立ち位置というか、場所にあった作品だと思いました。