■久しぶりの遠出と言えば遠出かな。山口晃の作品が展示されているということで三島のヴァンジ彫刻庭園美術館へ。今ひとつつかみ難い場所だけど、「クレマチスの丘」という場所の中にあるらしい。箱根の彫刻の森美術館みたいな雰囲気なのかなと思いつつ三島駅へ。駅から無料のシャトルバスが1時間に1本出ている。
横浜は天気悪かったけど、三島では日がさしていてやや暑い。駅構内のベーカリーでお昼のパンを買ってバスに乗り込む。なんだか眠くてだるい。
「クレマチスの丘」は美術館、レストラン、ショップを組み合わせた一種のレジャー施設ということになると思うけど、宿泊施設はない。御殿場周辺には宿泊施設やアウトレットモールがあるから、そうした施設群と併せたリゾートを形成しているのかもしれない。ちょうど箱根がそんなゾーンになっているように。
ヴァンジ彫刻庭園美術館は、まあ、おきれいなところでした。確かに。とても心地よいところ。ちょっと暑かったけど。作品は具象が多く、解りやすい。同じ静岡に彫刻を一つの目玉コンテンツとしている静岡県立美術館ではロダンが中心で、あそこは重々しい雰囲気があるのだけど、ヴァンジにはあまりそれは感じられず、どこか軽い。悩みがないわけではないだろうけど、苦悩している風でもなく。確かにこの浮世離れした庭園の雰囲気とバランスが取れていると思う。
目的だった山口晃の作品は、比較的小品が中心。江戸浮世絵風の絵画表現で現代を描写する、どこか滑稽味も感じる作品。一見すると江戸時代のどこかの神社の境内を描いた作品かと思っても良く観ると建物の壁にさりげなくガスメーターがついていたり、股旅姿の旅人の手にはアイスキャンデーがあったり。
美術館として何度も足を運ぶことになるかどうかは、正直、企画展がどれだけ充実するかにかかるだろうなとは思う。今回の企画展は建物の片隅を使って展示してみましたという付けたしの感じは拭えなかったし、監視員も不足していて、作品保全に意識があるようにも感じられなかった。
ただ、それでもリゾートに来た「ついで」に見せる入り口のひとつにはなっているのだろう。現代美術にもともと興味の無かった自分が興味を持ったのはICCのテクニカルな展示だったことを思えば、間口が広がることは新しく興味を持つ人が増える可能性が広がることにきっとつながっている。
ただ、やっぱり自分としては頻繁に訪れることはあまりないかなあ。