■マルツパーツ名古屋店で肝心の部材が入手できなかったので、事前に調べていた大須へ移動する。上小田井からは地下鉄鶴舞線で1本。大須観音で下車。マルツパーツはなぜ大須の小売集積地に出店しなかったのだろうと思っていたのだろうけど、現地を見てなんとなく納得した。まとまった床面積を確保するのは難しそうだ。
大須観音の門前町として小売商店が集積している様は浅草を彷彿とさせるのだけど、通りの狭さも相まってその密度感は御徒町を思わせる。その中に電子パーツ屋やパソコンショップが散在していて、秋葉原っぽさも混じっている感じ。アパレルとTWOTOPが並ぶ光景というのは、もしかしたら将来の秋葉原の姿を暗示しているのかもしれない。
それはともかく、まずはアメ横第2ビル1F。ここには電子パーツ屋さんが集まっていて、ラジオデパートの1フロアをこじんまりとしたような雰囲気。モルタルとしての品揃えはマルツパーツで目にしていたものと大同小異で、でもちょっとお店ごとにカラーが異なって、フロア全体で総合店的な雰囲気が出ている。なんか、秋月で見たようなパッケージが並んでいるお店とか、マイコン系のアイテムを扱っているお店とか飽きなかったのだけど、残念ながら欲しいものは無かったのでアメ横第1ビルへ移動する。
よくできたもので、2つのアメ横ビルの移動経路の間にもパーツ屋さんが幾つかあって、スイッチやケーブル、ディスクリート部品は揃っているようだった。ドスパラなどもあったのだけど、秋葉原のように店頭でよく解らないアイテムをワゴン売りするようなお店はなく、そこはちょっと物足りない。あと、5V-3A程度の小さなスイッチング電源がどのお店でも扱われていることに気づいたのだけど、最近はそういうものなのかしらん。D級アンプ用とか。
第1アメ横ビル付近は、こちらはよりずっと秋葉原を思わせて、パーツ、家電、PC、オーディオが揃っている。でも、小ぶりであることは否めない。ドレス、メイド服を扱うお店も入っていて、秋葉原のカリカチュアを見せられているようだった。シルクスクリーン(かな)の版画を扱っているお店まであった(ラッセンではなさそうだった)。
大須が秋葉原より良い点は食べるところには困らない点かもしれない。大須は秋葉原のように専門店街化してはいない。浅草と御徒町と秋葉原を一箇所に寄せたような造りで、コンパクトにまとまっている。商店街の全体はそれなりの集積規模を見せていて飽きないのだけど、電子パーツ/PCショップという切り口では秋葉原には及ばない。そもそも需要がないからなのか、場所的な理由からなのか、あるいは物流の問題なのかはわからない。なんとなく人口規模の問題ではないのかという気はするけれど。
大須で見た密度と上小田井で見た密度の落差は大きい。秋葉原あたりを起点として、電車で14分移動してあれだけの落差が生じる場所は無い。
どうしても上小田井で見た自動車優先の造りになった道路を走る車列を思い出さずにはいられないのだけど、整備された道路がもたらしたのは、名古屋市街の密度がそのまま周囲へ広がる形での発展ではなく、都市の密度が下がった形で再現される、単なる街の拡散だったんじゃないのか。広域道路網が整備されたことで、道路が通る地域全体が回廊化してしまい、街を構成する要素が落ちていく。
道路網だけ整備されれば、街の発展は自ずと後から付いて来ると、そんな風に思われていたんじゃないのかという気がする。ただ地域が持っている歴史が東京とは違うわけだし、その点は単に気がするというだけの話。
なんにしても、大須は結構飽きない場所ということが解ってよかった。