■都現美では「大岩オスカール:夢みる世界」と同時に、「屋上庭園」という企画展が開かれていた。都現美のサイトにある企画展の説明書きを読んでも今ひとつ要領を得ない。美術館ってあんまり正直に企画を説明してしまうと、お客が来なくなると思っているのかしらん、とか時々感じる。本当の意図は別にあるのだけど、とりあえずキャッチーな切り口で紹介しておこう、みたいな。
「屋上庭園」展の説明を読んだ限りでは、庭関係っぽい作品展示なのかなあということは伺えるのですが、今ひとつピンとこない。会場は「大岩オスカール」展会場のさらに上階。屋上というか、最上階庭園ですね。
入ってすぐに出迎えるのが「グロテスクの庭」。ぱっと見、今年の年頭に横浜美術館で見た「ゴス」に通じるものを感じたのですが、良くみると、あれほど死の印象を受けることはなくて、どちらかというと、えー、単なる悪趣味というか、コミカルな感じでした。
ただ、「庭?」というか、戸惑ったのは確かで、展示室を進むにつれ、いわゆる物理的な庭園を直接テーマにしているわけではなくて、庭園に見立てているだけなんだなということが理解できました。そう思って説明書きも良く読めば、そう言っていたことが解ります。庭園というか、箱庭っぽかったですね。
作家ごとにそれぞれの作風を当然お持ちで、それを一箇所に集めれば、そこには統一感を持つ小さな宇宙ができあがるわけです。その箱庭が全部で10あり、順番に見ていくと近代から現代にかけての表現の変遷をも追いかける格好になるという按配。
印象に強かったのは「記録された庭」の銅版画と「天空にひろがる庭」の開放的感。銅版画はぼんやり見ていると、わざと濃く焼いたモノクロ写真のようにも見えてしまうほどの仕上がりで、良く見ると写真を焼いただけではできない加工がされていることに気が付きます。でも今ならフォトレタッチで近い線は出せてしまうような気もします。
「天空にひろがる庭」はとにかく絵画全体がでかい。どうやって運び込んだんだろうというくらい大きくて、展示室は広くて天井が高くて明るい。同じパターンの絵画はCGでも容易に描くことは可能ですが、あの大きさは無理。物理的なスケールが与える印象というのも確かにあって、あれは普通のディスプレイじゃ無理だし、展示会カタログでも伝わらない。液晶テレビのパネルがでかくなるわけだ。
「屋上庭園」展を見終えた後、初めて常設展示室に入る。今は新しく寄贈されたコレクションの展示と、岡本太郎氏の作品特別展示。企画展示に比べるとちょっと穏やかな感じ。宮島達男氏のデジタルカウンター作品はあちこちの美術館で見かけていて、でも、まだ、ひとつとして同じものを見ていません。
常設展示も見終わって、付属レストランで昼食。過去2回ほど利用して、毎回なんか悲しい気持ちになったものですが、今回は大丈夫でした。注文したらすぐ出てきたし。ドリンクは食前に頼んでおくのが吉かな。これで質より量的ながっつり系メニューがあると嬉しいなとか思わなくもないんですが、それはお店が違うといったところでしょうか。
次の企画展はスタジオジブリ・レイアウト展とパラレル・ワールド展ですが、夏休みでジブリだから激混み必至か? ジブリはともかくパラレル・ワールド展は見てみたいのだけど。9月にならないと無理かな?