山口小夜子展/他人の時間

■山口小夜子という名前は聞き覚えがあるようなないような、という感じだったのですが、写真を見たら思い出しました。化粧品のポスターでお見かけしたことがあったような。アパレルデザインの展示は過去にも都現美でありましたが、ファッションモデル・俳優の追悼・回顧展のような形式の展示はずいぶん珍しいのではないかと思います。ファッション・アパレルは苦手なのですが、面白く感じたところもありました。

 面白かったのは資生堂広報との絡みで、日本人形のようなルックスの山本小夜子さんのビジュアルと和風に舵を切った資生堂のブランドイメージの変化が、トップモデル・山口小夜子の存在に引っ張られたのか、広報側ディレクターのコントロール下にあったのかわからかったことです。見ている感じでは「資生堂」というブランドより先に「山口小夜子」という存在が先にたっていて、ブランドは意識されなくなっていました。もともと化粧品そのものに興味はないからかもしれませんが。
 全く違う観点で面白かったのは、コマーシャルフォトで使われるコンタクトプリントと実際のプリントが並べられていた点で、コンタクトプリントにはトリミングの指示も書き込まれていました。そうした撮影後のプロセスは知っていましたが、実際に目にできたのは初めてです。

 当たり前ですが、展示では山口さんのビジュアルや舞台衣装の展示がメインですが、観ているうちに「山口小夜子」という生身の存在感が希薄になっていき、どなたかの言葉ではないですが「POPアイコン」という表現がしっくりします。最初は生身の山口小夜子さんがビジュアルを決定していたのだと思うのですが、それが「山口小夜子」というブランドイメージそのものになってしまい、そのイメージに自分を嵌め込んでいるような感じがしました。それは自己実現なのかもしれませんが、当人の言葉が展示ではあまり見られなかったことが一因だったかもしれません。もっとも、YouTubeで観ることができるインタビューなど見ていると、却って謎めいてしまったかもしれません。

Copyright (C) 2008-2015 Satosh Saitou. All rights reserved.
戻る
■キーワード
日記::一覧展開
2016.06
2016.05
2015.12
2015.11
2015.08
2015.07
2015.06
2015.05
Private Private (2015.05.17)
2015.04
2015.03
2015.02
潮つ路 (2015.02.22)
未見の星座展 (2015.02.07)
2015.01
2014.12
DOMANI/シェル (2014.12.20)
2014.11
五木田智央展 (2014.11.08)
2014.10
山口勝弘展 (2014.10.26)
コンタクト (2014.10.18)
2014.09
SIAF 2014(3) (2014.09.20)
SIAF 2014(2) (2014.09.14)
SIAF 2014 (2014.09.13)
2014.08
ヴァロットン (2014.08.09)
絵画の在りか (2014.08.02)
2014.07
クロニクル1995 (2014.07.26)
SDHCカード集め (2014.07.20)
2014.06
2014.05
無限の可能性 (2014.05.24)
PIOON (2014.05.17)
2014.04
2014.03
唯美主義 (2014.03.09)
写真の境界 (2014.03.02)
2014.02
星を賣る店 (2014.02.15)
日常/オフレコ (2014.02.01)
2014.01
DOMANI/シェル賞 (2014.01.04)
2013.12
ターナー展 (2013.12.14)
2013.11
反重力 (2013.11.02)
2013.10
2013.09
LOVE展 (2013.09.08)
宙色 (2013.09.07)
2013.08
福田美蘭展 (2013.08.11)
2013.07
2013.06
未来の記憶 (2013.06.16)
梅佳代展 (2013.06.15)
片岡珠子展 (2013.06.09)
椿会展 (2013.06.08)
空想の建物 (2013.06.02)
2013.05
2013.04
母-娘、姉-妹 (2013.04.06)
2013.03
卒展めぐり (2013.03.30)
恵比寿映像祭 (2013.03.16)
Black (2013.03.03)
2013.02
実験工房 (2013.02.02)
2013.01
いろはにほう (2013.01.26)
2012.12
MU (2012.12.22)
2012.11
Whirl (2012.11.25)
MOTアニュアル (2012.11.18)
2012.10
2012.09
夢の光 (2012.09.08)
光のアート (2012.09.01)
2012.08
2012.07
具体展 (2012.07.21)
国吉康雄展 (2012.07.15)
2012.06
2012.05
2012.04
2012.03
2012.02
Viewpoint (2012.02.25)
恵比寿・2 (2012.02.19)
イ・ブル展 (2012.02.18)
恵比寿・1 (2012.02.11)
2012.01
2011.12
2011.11
美女採取 (2011.11.27)
日常/ワケあり (2011.11.12)
2011.10
2011.09
銀座線ライン (2011.09.17)
竜宮美術旅館 (2011.09.11)
2011.08
しろきもりへ (2011.08.27)
2011.07
2011.06
京橋、新橋 (2011.06.26)
シンセシス (2011.06.18)
2011.05
風穴 (2011.05.15)
PLATFORM (2011.05.14)
2011.04
水・火・大地 (2011.04.17)
2011.03
パーティクル (2011.03.19)
恵比寿映像祭 (2011.03.12)
カナリア (2011.03.06)
2011.02
豊島美術館 (2011.02.13)
2011.01
藝大先端2011 (2011.01.23)
幽体の知覚 (2011.01.01)
2010.12
2010.11
2010.10
アショカの森 (2010.10.30)
補遺の庭 (2010.10.24)
2010.09
シッケテル展 (2010.09.26)
2010.08
ハーフ (2010.08.21)
発電所美術館 (2010.08.01)
2010.07
2010.06
会田誠巡り (2010.06.12)
2010.05
欲望のコード (2010.05.15)
2010.04
2010.03
絵画の庭@NMAO (2010.03.06)
2010.02
2010.01
2009.12
2009.11
neoneo展 part2 (2009.11.29)
2009.10
広島ノ顔@HMOCA (2009.10.18)
2009.09
吉宝丸@広島 (2009.09.20)
2009.08
2009.07
2009.06
2009.05
2009.03
2009.02
2009.01
2008.12
風景るるる (2008.12.14)
2008.11
2008.10
2008.09
石内都 (2008.09.06)
2008.08
精神の呼吸 (2008.08.24)
2008.07
小さな世界 (2008.07.26)
屋上庭園・他 (2008.07.13)
夢みる世界 (2008.07.12)
2008.06
2008.05
ないまぜ (2008.05.24)
2008.04
2008.03
STILL/MOTION (2008.03.22)
2008.02
1998.11
作成:2015.04.11
公開:2015.04.11

Valid XHTML 1.1

loading image reserved place