■水戸芸術館の現代美術セクションの夏休みシーズン(から10月上旬まで)の企画は「カフェ・イン・水戸 R」。水戸芸術館の開館25周年を記念しての企画とのこと。現代美術センターでの展示はいつも通りの現代美術作品展示なのだけど、水戸市内の街中展示とリンクしての企画というのが普段の企画と違う展。現代美術作品目当ての来客を市内へ還流させるタイプの企画は珍しくはないのだけど、水戸で本格的に活動が始まったのは初めてなのかな。市内のカフェを借りての絵画展示など最近企画されていたことも知っていますが、空きテナントを借りてのオルタナティブスペースのような形式は初めて観ます。
ただ、いわゆる「ビエンナーレ/トリエンナーレ」のような大掛かりな規模ではなくて、市中企画としてたてられた100件のプランが「水戸市再発見」という形が中心になっていて、現代美術作品展示のためというのではなく、水戸芸術館と水戸市中の結びつきを新たにすることが目的のように思いました。
現代美術ギャラリーでの展示は柳家花緑さんの展示だけがなんだか謎でしたが(9月に独演会があるためか?)、宮永愛子、【目】、志村信裕の各作品は印象に残ります。特に【目】の「レプリケーショナルスケーパー」という作品が、美術館鑑賞をしているサクラが職業化されているという設定で、どこかディック的。作品の背景にあるものが頭に入ってくると、ギャラリーに出た時に入る前と同じ目線で見ることができない。
志村信裕さんの作品は那珂川の歴史を題材としたインスタレーション作品で、技巧そのものは目新しくはなかったのですが、かつて那珂川沿いにあった文化、生活の記憶を呼び覚ます作品は本企画のテーマとよく合致していたのではないかと思います。
市中展示は市外からというより地元の人向けという感じでした。山本麻紀子さんのダイダラボッチとイギリスにもある同様の巨人伝説とをリンクさせた作品は面白かったです。
水戸芸を後にして、例によって大洗へ。勝田からひたちなか海浜鉄道湊線に乗り換えて那珂湊駅まで行き、そこから徒歩で大洗市へ。大洗市の北側は初めてだったのですが、祝町の交差点からバスに乗って大洗市中へ。那珂川河口の地形は面白くて、大洗市側は高台になっていて、那珂湊側はデルタになっています。那珂川は大洗側の高台に沿って太平洋に接続する形で護岸工事がされています。そのため湊大橋は那珂湊側では裾が長く、斜度もきついスロープを持っているのですが、大洗側は橋が直結していて、そこからさらに丘を登ります。
大洗市の入り口では沢梓と宇津木優希がお出迎え。隣接している水戸市、ひたちなか市でガルパンを目にすることはまずないので、このトーンの違いは際立っています。
祝町の交差点近くにある「かんぽの宿前」バス停でタイミング良くバスに乗り、大洗市内へ。乗ったバスが茨木交通のらくがきバスでした。
チェックインで予約していた時間には時間があったので、途中「軽食喫茶ブロンズ」に立ち寄りました。鉄板ナポリタンに惹かれてたのですが、肴屋での夕食がだいぶボリュームがあることは解っていたので、それはまたの機会で。
翌日は海岸の写真を押さえておきたくて大洗岬まで行ってみたのですが、台風が接近していることもあってだいぶ荒れていました。
戻りの列車の時刻まで半日ほどあったので周辺をぶらぶらと。梅カフェを見つけたのは収穫でした。疲れている時にはうってつけだと思います。
前回来たときは整理券が必要ということで諦めたガルパンカフェは、やっぱり食事はダメだったのですがとりあえず入ることはできました。高い位置にあって見晴らしがいい喫茶店で、あの場所が永らく営業していなかったのはちょっと不思議な気もします。
リゾートアウトレットの方はだんだん空きテナントが増えているような気がします。ガルパンブームで人が来ていても客層が合わないのだろうなというのは想像に難くないのですが、リゾートアウトレットでなければ買えないものというのもあまりない感じもします。まいわい市場では特産品を扱っていますが、スペースの半分はふつうの地元八百屋という印象があります。アウトレット自体、ガルパンとは距離を置いていた感じでしたが、最近になってまいわい市場の隅をとっていたガルパンコーナーが独立してガルパンギャラリーを設置したのはアウトレットにも人を呼び込みたいということなのだろうとも思います。今年の11月末には本格的に大洗市を舞台としたガルパン映画が公開され、それがカンフル剤になるとは思うのですが、その映画が終わったあとに引力になるものが何になるのか、気になっています。