■一か月前のことになってしまうけど、国立新美のメディア芸術祭を見に行った。以前山口のYCAMで見た「欲望のコード」(三上晴子/2010)に再開できたのは良かったのだけど、全体としては、当然というべきなのか、技術的にはすごいのだけど、作品としてはあまりピンとこないような感じがしてしまった。
乃木坂を後にして、新橋の資生堂ギャラリーへ。アートエッグで紹介される二人目、ジョミ・キムの個展。消臭ビーズを使った、時間の経過とともに「消えていく」作品が展示されていたのだけど、宮永愛子のナフタリン作品を連想するし作品が持つ力も宮永作品の方が強いと思いました。どちらかといえば髪の毛を編み込んだ櫛やマスキングテープ上に作られた小さな家が並ぶかわいらしい小品が良かったです。特に櫛かな。業のようなものを感じます。
新橋をあとにして京橋のリクシルギャラリーへ。絵画作品の矢島史織展が良かった。時期的にはどうかとは思いましたが、晩夏か、残暑厳しい秋口の頃を思わせる、しかし涼しげなイメージでした。油彩というよりは日本画で見かける技法が使われているような…と思ったら日本画出身の方でした。しかし、夏の展示ならもっと良かったのに。2月だとちょっと寒々しい。
京橋から日本橋をまわり、東京ステーションギャラリーへ。場所が今一つわからずなかなか寄れないままだったのですが、ようやく中に入れました。受付手前の券売機で券を買い、受け付けで改めてチケットと交換するという国立新美的な謎のシステム(国立新美の受付も最近は合理的になりましたが)。ここのギャラリーは種々の人が訪れやすいことからか、展示作品もわかりやすい。テーマが鉄道という強い縛りもあってか、パラモデル作品は賑やかだし、クワクボリョウタの影絵作品は出来上がるイメージの完成度が高くなっていました。柴川敏之のオブジェは錆加工がされていて、それが古びた赤レンガの壁とマッチしている。所ジョージの「世田谷ベース」(BSフジ)で錆塗装ネタが何度か紹介されていましたが、それを思い出しました。古い東京駅の姿を最新技術で蘇らせたのが今回の東京駅改修工事だったわけですが、それと現代美術の展示会との組み合わせもわかりやすいですが、これからどういう展示に使われるのかが気になるところです。