■山口には現代美術館がねえ、と嘆きつつもリサーチをしていて、それでも宇部にある「ときわミュージアム」は現代美術を扱っている、という情報は掴んでいた。ただ、彫刻中心というのが微妙なところで、自分は今ひとつ彫刻がわからない。昨年、伊勢現代美術館で彫刻専門の屋外展示場を見させていただいていますし、もちろん箱根の彫刻の森美術館なんてところも知っていますが、やっぱりぴんとこないのです。最近、なんとなくとっかかりのようなものは自分なりにできてきたような気がしないでもないんですが、それでも屋外彫刻は今ひとつなところはあります。
それでも行ってみようと思ったのは、ときわミュージアムで、現代彫刻を扱った「宇部ビエンナーレ」が開催されているという情報を掴んだからで、その会期が11月半ばで終わってしまう。それならばと終わる前に観ておこうと。幸い、宇部は香川に比べたら全然近い。
新山口(旧小郡)駅で宇部線に乗り換えて30分ほど。単線のワンマン運転で、目的の常盤駅は無人駅。しかも駅前はターミナル的な装いなど何一つなく、普通に民家がまばらに並ぶ宅地。瀬戸内海がホームから見通せるという点で、旅情を感じさせる場所ですが、こんなところに美術館があるのかと思わせるのに十分な寂しさです。
五ヶ所湾に面した伊勢現美も、最寄のバス停に初めて降り立った時は途方に暮れたものですが、常盤駅周辺の景色も途方に暮れさせるのには十分でした。
ただ、近くに国道が通っていて、そこにファミレスが集中しているのは朗報でした。現地で食事をできるかできないかは、遠方に通う時には大きなファクターです。
昼食を終えて、のっぺりと乾いた宅地と畑の入り混じる風景の中を歩いて、常盤湖方面へ。近づくにつれ、何かの展望台やら観覧車やらが見えてきて、地方の総合リゾートっぽい空気が濃くなっていきます。遊園地の施設はあまり過激な機動をするものは見当たらず、ややくすんだ色彩は塗装されたあとの年月を思わせています。
ただ、入り口がどこだかよく解りません。
やがて、フェンス越しに彫刻っぽい何かが見えてきて、そろそろ近いことが解ったのですが相変わらず入り口がどこだかわからない。ままよとばかりにフェンスの切れ目から敷地に入りました。後で知ったのですが、ときわミュージアムを含む一連の施設群は常盤公園の一部で、かつては入園料を払っていたとのこと。つまり、もともと公道にむけて開けていないわけです。だったらどこかに案内板出しておいてよと思うのですが、この歩行者に対する不親切さというのは山口ではそこここで出くわします。
ちょっと驚いたのは、まあ、子供向けのアトラクション設備が稼動していたりしていたとは言え、それなりに人出があったことです。そのあたりは次回。