■先日のリクシルギャラリーに行ったらポスターを見かけて、そこには見覚えのあるビジュアルが。以前、東京オペラシティーアートギャラリーのプロジェクトNでフィーチャーされていた原良介の作品だった。森か、あるいは里山か、あまり密度の高くなさそうな林の中を少女が走る様を描いた作品で、春先のまだ肌寒い雰囲気を良く伝えているように思った。フィールドが好きなのだけど、その空気をまざまざと思い出させてくれる作品だった。
茅ヶ崎市美術館はあまり調べてなかったのだけど、スケジュールを調べるとたまたま現代美術を扱った企画展示のようす。どちらかといえば市民ギャラリー的な運用のされかたが中心のようす。茅ヶ崎なら相模川も越えないし、1号から程近いからスクーターで行けるかもしれないと思ったけど、地図で見ると道の接続が解りにくい。茅ヶ崎駅周辺は道が細く入り組んでいる上、一通の迷路だし、なんだかんだと東海道線を使う方が断然早いのでJRを使った。
市美は茅ヶ崎駅南口から徒歩10分程度の至近にあることは解ったのだけど、結果的にはバイクで行かなくて良かった。
日本庭園を持つ公園の一角に市美はあって、その立地は良いのだけど、大通りからのアクセスは全く見当がつかない。駅から見当つけて南に歩いていったら突然現れたといった感じ。建物はコンパクトで1FとB1に展示室を持ち、2Fにスタジオと喫茶がある。喫茶のメニューはちと高い。
原良介の個展「絵画への小径」はやはり自然をモチーフとし、その中で行動する人の姿を時間差でタイムラスプのように描く。自然の景色は静物画に似て動きがないけれど、その中に動く人の姿がはいると、その動きにつられて林の景色も動きだす。
他に「次元ドローイング」のシリーズが面白かった。だまし絵のようでもあり、描きこまれたマスキングテープの陰影と、展示室の照明がうまくあっていて、描きこまれた繊細なオブジェクトがキャンバスの上に留められているようにも見えてくる。
今回の企画展はよくある「地元ゆかりの美術家」をフィーチャーしたもので、特に現代美術を意識したものではなさそう。同時展示の「宮大工の世界」は湘南地方に残る大型社殿の図面などを展示したものだけど、特に分類や技術面の解説などはされず、単に並べているだけという格好になっていたのは残念な感じ。原良介の個展は撮影禁止とされておらず、宮大工の世界は撮影禁止になっていたのだけど、あれを禁止にする理由はよく解りませんでした。