■マーティン・グリードをHMOCAで観てから約1ヶ月後、再び広島へ。ただ、マーティン・グリード展はまだ会期中だから今回比治山登山はなし。広島市街にあるコンテンポラリー系(と思われる)ギャラリーに脚を運んでみたかった。現地確認だ。
東京におけるTABのようなサイトが見つからないため、自分のようなよそ者にはアクセスのとっかかりも見当つかなかったのですが、前回HMOCAに行った折、ロビーで発見した広島ギャラリーマップが手がかりになりました。このマップを作ったのはギャラリーGというところで、雰囲気、コンテンポラリーなのかしらん、というわけで候補。リストにあるギャラリー、画廊を一通りググッてみて、Art space HAPを追加。場所的にも比治山に近いし。
前回は映画とパックに工程を組んだはいいが、映画を後に置いたので慌しい行程となってしまったので、今回は映画を先に。映画は『ノウイング』を観たのですがその感想は後日。
広島周遊切符で広島に入り、山陽本線に乗り換えて新井口のシネコンで観るもの観てから再び広島駅に戻りました。
広島駅前の広電定期売り場で念願のパスピーを入手。最小購入金額の2000円で、デポジット500円があるから、1500円分チャージということになるのですが、路面電車は市内線がだいたい150円均一(白鳥線は100円)なので、十分な金額。乗り降りを小まめに繰り返して市内をくまなく回るなら1日フリー乗車券が圧倒的に有利ですが、今年は数回訪れることになるだろうし、どうせなら記念になるようなものを、ということで。

まずはArt Space HAPから。HMOCAと同じ比治山下電停前で下車し、ただし山とは反対側。HAPは平和大通りの東の端、鶴見橋の袂に建つマンションの1Fにそのスペースはひっそりとありました。最初喫茶店かな? と思った。
展示スペースはかなり小さい部類になると思います。全国のギャラリーをくまなく歩いたなんぞと言うつもりは毛頭ありませんが、中に入って部屋の真ん中に立ってそのままぐるりとあたりを見回して見切れてしまいそうな感じで、ここほどコンパクトな所はそう無いのではないかと思います。
行ったときの展示は枡岡真伊(Masuoka, Mai)さんの漆小物の展示でした。布を漆で固めて作った(乾漆)小さな飾り皿や、インスタレーション。漆というと連想するのは器もの、塗り物ですが、枡岡さんの作品はそこから少し外した造形をされています。個人的に面白かったのは「ウッディー・ブラウン」「スカイ・ブルー」の両シリーズでした。どちらも盆栽のような小宇宙を構成した作品で、乱暴に言ってしまうとカワイイ系。「ウッディー・ブラウン」は台座に複雑な金属腐蝕のようなパターンを持つ模様が施されたものがあり、てっきり腐蝕させた金属箔を貼り付けたのかと思ったのですが、枡岡さんに伺った(会場にいらしたのです)ところ、漆マーブリング(墨流しの技法)した上に金属粉をかけたとのこと。漆は独特の質感がありますが、工芸品として使われてきた歴史が長いだけに、下手に器っぽく作ってしまうとどうしても工芸品に寄せた形で見てしまいがちです。漆独特の質感を作品表現に生かせるテーマがみつかるといいですね。
枡岡さんとお話をして、勉強になることが多かったのですが、面白かったのは、体調によってかぶれたりかぶれなかったりするというお話。カップ麺など食べた後だとてきめんなのだそうです。
HAPの後は広島駅方面にとって返して、八丁堀方面に乗り換えて、八丁堀から県立美術館方面へ。ギャラリーGは広島県立美術館の対面にあります。こちらは画廊ですね。今回は版画の展示。一通り観終わった後、せっかくだからと県立美術館によって一通り観てから帰りました。