■横浜そごう6Fのそごう美術館で「山口晃展」油彩出身の人だけど、浮世絵風に今の景色を描くその遊び方が好きな作家さんで、さっそく行きました。割引も効いたし。
山口晃さんの作品というと、一見浮世絵のような鮮やかな絵で、しかしよく見ると描かれているのは現代の風景という組み合わせの絵を思い浮かべるのだけど、そごう美術館での今回の展示では、それらに加えてインスタレーション作品や書籍向けの挿絵なども展示されていました。
浮世絵風の絵は様式的なフォルムを持っていて、そこに描かれる建物や小物、人物はどれも良く似た印象をうけますが、挿絵に描かれた絵は浮世絵風のフォルムとはまた違う様式をもって描かれていて、引き出しの多い人だということがよく解りました。
引き出しということでは、インスタレーション作品もそうで、会場に入って早々に目にすることができるチープな茶室は、浮世絵風作品とは逆に、古くからある形態を今ある素材で再構成した作品です。そのあんまりのチープさに笑ってしまうのですが、その作品はむしろ「茶室のように見える何か」であって茶室ではないのかもしれません。塩ビの波板やべニアの組み合わせたものを茶室と「見立てている」とも言えるように思います。「見立て」の作品ですね。
「見立て」をキーワードにして山口作品を見ると、一つの切り口としてわかりやすい。今の景色を浮世絵を構成するパーツを通して見立てたのが「山口晃」と聞いて連想する作品群だけど、それ以外のインスタレーション作品であっても、「見立て」は生きている。その「見立て」に含まれている遊びが、余裕となっていて観ている側にも伝わって気楽に楽しめるのだと思いました。
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