■先日のオペラシティアートギャラリーでのミラーニューロン展と併せて見れればスケジュール的にはちょうどよかったのですが、その時はまだICCは次期公開準備中だったので見れませんでした。今回ICC側の2015年度展示が始まったので再びオペラシティへ。オープン・スペース2015はICCの無料展示で、半ば常設のような展示。若手紹介の「エマージェンシーズ」はAKI INOMATA氏の作品。前年度から継続展示することが多かったのですが、2015年度展示での継続展示になっていたのはマシュマロ・スコープとジャグラーくらい、だったように思います。
ただ、入れ替わったといっても新作が並んでいるわけでもなく、他所の展覧会で見覚えがある作品が半分以上あり、その点で言えば2014年度までのアーカイブ的な展示になっていると言えるのかもしれません。
面白かったのは平川紀道氏の《knowns, unknowns and the irreversible》で、その作品を構成する、26人のインタビュー画像からランダムに画像のラインを1ピクセルずつ抽出し、組み合わせてあいまいな人物像を構成するビデオ映像作品が面白かったです。26のビデオ映像からラインを抽出し合成するので完成した人物映像にはならないのですが、乱数には偏りがあるので誰か特定の人物像を見ているような気になれます。一瞬「誰か」を見たように思えた次の瞬間には見えていなくなっている。誰かを見ているような気にさせるが、それがどのような人物なのか決して思い出すことができない。その見ているのだけど、何も見えていないという感覚は面白かったです。
「エマージェンシーズ」のAKI INOMATA氏の作品は、動物の生態に人間社会の様式・行動をあてはめる、一種の擬人化なのかもしれませんが、どちらかというと、人間社会の中から動物がもつ生態に似た部分を抽出して拡大して見せているように思います。