■京橋から新橋へ。LIXILギャラリーと資生堂ギャラリー。LIXILギャラリーは会期の境目で陶芸ギャラリーは展示されてなく、現代美術ギャラリーのみ。「世界は静かにNOと言い始めている」は抵抗のメッセージが込められたドローイングの作品。ただ、何に対してのNOなのか、ただ漠然とNOと言い立てているのではないか、という印象はぬぐえなかった。「世界は…」という話法は自分の意見をあたかも普遍的な見解であるかのように見せかけると同時に自身の存在は消してしまうわけで、あまり好きなレトリックではない。
LIXILギャラリーを後にして新橋の資生堂ギャラリーへ。ブラジル現代写真展、ということで、写真はちょっと苦手なんだけどなと思いつつ寄ったのだけど、自分でも楽しめてよかった。何名かの作家作品が並列されるグループ展の形式になっていて、土着的・神話的な絵が多かった。志賀理江子的な、どこか非現実的で緊張感漂う作品もあって面白かった。ブラジルの現代美術展というと数年前に豊田市美や都現美で開催されたブラジルをフィーチャーした企画展を思い出すのだけど、あのときに目にした作品とは違って、ずっと内省的な印象を受けました。マジック・リアリズムという言葉は最近まったく耳にすることがありませんが、その雰囲気を感じました。
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