恵比寿映像祭

■今年で3回目の恵比寿映像祭。東京都写真美術館は久しぶり。事前に展示作品一覧をみたのですが、去年、一昨年は写真やインスタレーション展示があったのですが、今回は(ビデオ、映画などの)動画作品が殆どのようでした。映像祭だからそれは間違いではないのですが、個人的にはあんまり興味がないのでどうかなあとは思っていましたのですが、自分でも意外で結構楽しめました。でも、やはり実際に脚を運ぶものですね。

 映像の加工技術や、演出手法、アニメーションなど、目新しくはないのですが、一堂に集まると結構見入ってしまいました。加工技術で面白かったのはダニエル・クルックスの作品で、人が運動する映像を中央で二分して、時間差を作ります。時間差があるので両者の映像は映像的につながらなくなるのですが、その時間差を埋める各フレームの映像を並べることでスムーズにつなげます。You Tubeにアップされている映像がありました。

 笑ってしまいそうになったのがスーパーフレックス(SUPERFLEX)の「マクドナルド浸水」。マクドナルドのセットに水を流し込んで完全に水没させてしまう過程を、BGMもナレーションもなく延々と撮影しているだけなのですが、これが妙に可笑しい。もともとマクドナルドというお店は能天気な明るさを演出している場所ですが、そこが浸水することで演出されていた構造が破壊され、大量生産・大量消費の安っぽさが露呈してしまう。で、それとはまた別に、パニック映画っぽい造りをしているのが妙に可笑しい。
 でも、これ、本当にマクドナルドが好きで働いている人がいたら泣いてしまうかも。

 実際に笑ってしまったのはしりあがり寿の「白昼夢夫人」でこれがなぜか1FからB1への階段に展示されている。これが脱力もので「履くー、はくー、ちゅー、ちゅー、むー、むー、むー」というEDの歌が延々と流れていて、脳裏から離れない。ビジュアル的な見所といったら主演の白昼夢夫人がだいぶ美人でアホなことを言う(「夢!?」)くらいで、クセになるかというとたぶんならないんだけど、とにかく耳から離れない。

 他にはハルン・ファロッキ(Farun FAROCKI)のいわゆる「仮想現実」技術が戦争訓練のウォーシミュレーションに使われる一方で、戦場帰還者のPTSD治療も使われている2面性を示したドキュメンタリーも興味深くはあった。
 ただ、この映像祭、来年はどうするんだろう。

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