■奈義町現代美術館を後にし、また数時間かけて岡山に戻って今度は県立美術館へ。岡山駅前から市電にのって「城下」(しろした)へ。100円。県立美術館は城下駅から徒歩数分。全容がよく解らない建物でしたが、まあ、気にしない。「CULTEX」と「テキスタイルの色と形」ということで、単なるテキスタイルデザイン展かと思っていましたが、そんな単純な展示ではありませんでした。
岡山県美のHPにある説明では今ひとつ掴みきれてなかったのですが、「CULTEX」展と「織る編むひろがる テキスタイルの色と形」展の併設でした。そういうことに気付いたのは見終わってからというのはさすがに迂闊すぎでした。展示会場は「テキスタイルの色と形」と「CULTEX」が分離する配置となっていて、微妙にテクスチャが異なります。
造形的に洗練されているように感じたのは会場前半の「CULTEX」で、一見して布と解る造形もあれば、布のようには見えないものもあり。「布」というと一枚布や服飾を連想しがちなのですが、素材としては非常に柔軟な紙や樹脂シートのようなものなわけで、切る、折る、縫製、といった造形的な加工が可能で、染色、光沢、遮光、透過性を持つ薄布といった素材のバリエーションも豊富です。だから、様々な造形作品や表現があって面白かったのですが、造形としてはなんとなくどこかで見覚えがあるようなないような感じは否めませんでした。
布という素材はあまりにもありふれていて、そしてあまりにも永い事、人の世で使われてきています。そこで何か新しい造形・表現を見せるのはとても難しいことでしょう。ただ、布という素材とその加工技術の柔軟性や可能性というものはとても良く解ったように思います。その意味で面白い展覧会でした。
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