■新春最初の美術めぐりは資生堂ギャラリーアートエッグで川内理恵子展。食べること、食べ物をテーマとした作品。シズル感は皆無で、見た目おいしそうではないのだけど、素描のような柔らかい描線で描かれた食べ物や、ものを食べる様を観ているとだんだん空腹に耐えられなくなってきました。食べ物そのものというより、「食べている」時のことを思い出します。
食べて、身になったものが消費されて排出される。「新陳代謝」が意味するものは、物理的な身体を構成している物質は入れ替わり続けているということ。自分の身体は物質的に同一で続くことはあり得ないわけだけど、それでも自分としての同一性は認識されている。
でも、それはそれとして、描かれるケーキや焼き菓子の絵を見ていると、まあ、ふつうにおなかがすきます。でもちょっと資生堂ギャラリーの広い空間に展示するにはちょっとボリュームが寂しいようにも思いました。昨年末に荒木経惟のこってりした展示を観たばかりだったからかもしれません。
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