■東京都写真美術館の今年度のコレクション展テーマは「スピリチュアル」とのことで、コレクション展のタイトルも「スピリチュアル・ワールド」。同時に始まった企画展の「佐藤時啓 光―呼吸 そこにいる、そこにいない」もそこはかとなくスピリチュアルな雰囲気が。
コレクション展では渡辺義雄、石元泰博、鈴木理策、山城知佳子、東松照明、土門拳、土田ヒロミ、石川直樹、内藤正敏、奈良原一高、藤原新也、横尾忠則、三好耕三など。写真家ごとの絵の作り方の違いというのが最近になってようやくわかってきて、なんだか○○さんぽいなー、と思ってキャプション確認したらそれで合っていたりして、違った楽しみかたもできるようになってきました。
スピリチュアルな場所の撮り方については大きく2つに分かれているようで、1つはその場にいる人物の感情にフォーカスしたものと、もう1つは対照的にその場を客観的にとらえようとするものがあるように感じました。前者は東松照明や藤原新也であれば、後者は石川直樹や石元泰博でしょうか。単に寄って撮るか引いて撮るかの違いかもしれませんが。寄って撮るにはその場の中に入り込んでいかなければならないし、引いて撮るには逆に場の中には入れない。その距離感が写真から伝わってくるように思います。
同時開催の企画展「佐藤時啓 光―呼吸 そこにいる、そこにいない」はセットアップ写真で、長時間露光で撮影した風景の中に写真家が作り出した光(鏡の反射や懐中電灯など)を写しこんで絵を作っています。簡単に言うと「キラキラ」な写真になるわけですが、その絵にアミニズム的な空気を感じるのは難しくありません。
後半はピンホールカメラを組み合わせた全天パノラマ写真になっていくのですが、全天撮影をするとフレーミングがないわけで、それは絵作りとは対極的な撮影です。その振れ幅の大きさも面白かったです。