■茅ヶ崎市美術館は2回目のような気がする。夏休み企画の「じぶんのいっぽ」展を軽く覗いてみようと思ったのでした。「じぶんのいっぽ」は《自分自身》をテーマとした作品が中心。アーティストは首藤圭介/金箱淳一のふたり。自分の鼓動に連動して音・振動・ビジュアルが変化するなんとなくボルタンスキーの作品を連想しなくもない《24億分の1》や歩くときの振動に反応して足元の石が光る《The Blink Stone》、記憶だけで自分の身の周りの地図を描くワークショップのアウトプットを並べた《自分マッピング》の3つ。最初はあまり期待していなかった《自分マッピング》が意外と面白かった。
《自分マッピング》は自分の身の周りの世界を地図などを参照することなく記憶だけを頼りに描くことを目的にするのだけど、そうして描かれた地図は自身の体験を色濃く反映したものになる。良く歩く道やエリアについては詳しく、そうでないエリアについては曖昧か、空白になってしまう。その詳細さの濃淡は地図から見て取ることができる。面白かったのはその地図に(ネタかもしれないが)宇宙まで手を広げて描いてる子がいたり、あるいは逆に自宅と他の拠点だけを放射状に結ぶだけでいわゆる地図の態をなしていない地図があったりもした。いずれもそれぞれの子が持つ心的世界を反映している。
もう一つ面白かったのは、このワークショップに参加していたのは小学生だけでなく高校生と大学生も地図を作成しているのだけど、地図の精度という点では小学生と変わらないことでした。
平行開催されている同美術館の新収蔵作品展は地元ゆかりの作家を中心としたコレクションということで、正直地味目。ただ、川瀬巴水の版画が含まれているのが収穫でした。これは良かった。
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