マテリアライジングII

■東京藝大付属の美術館や陳列館の存在は前々から知ってはいたのですが、場所がよくわからないこともあってなかなか行けずにいました。そもそも東京藝大がどこにあるかも今ひとつ知らないでいたのですが、上野駅からだと上野公園の裏手で、その近所にはこれまた前から気になっていたSCAI THE BATHHOUSEギャラリーもある。その界隈を見て回るつもりで行ってみることにしました。マテリアライジングII展です。

「マテリアライジング」は最初 'Materia Rising'だと思って何のことやらさっぱりだったのですが、'Materializing'つまり「物質化」の意味でした。もっと平たく言ってしまうと「情報の可視化」です。3Dプリンタやレーザーカッターなどを使い、情報を物体化する。出品者の一人がキャプションの中で述べているのですが、その「情報」というのは記録媒体上に載っている時点ですでに物質化されています。確かにその点で「物質化」というのは少しそぐわないのかもしれません。つまり、「情報の可視化」とは異なるフォーマット(というより「フォーム」)へのトランスコードでしかないわけです。

 ただ、それはそれとして、トランスコードされたその形は面白い。東京藝大の陳列館は今回初めてですが、建物そのものが古く、味のある建物で、その内部空間にテクニカルな作品が並ぶのがかつてのZAIMを想い出しました。作品そのものではレーザーカッターで靴に物語を彫り込んだもの(レーザーカッター茶屋)が面白かったです。トランスコードのアイディア勝負と、最終的なアウトプットの見せ方という2つの評価軸があって、アイディアが良くてもアウトプットがダメだと印象に残らなかったり、アウトプットは面白くてもアイディアが陳腐だったりするのが難しそうです。その中でレーザーカッター作品はシンプルにアウトプットから逆算したモノづくりをしていたように思います。トランスコードプロセスから敷衍する場合は元々のアイディアが面白くないとインパクトが弱くなってしまっていたように思いました。

Copyright (C) 2008-2015 Satosh Saitou. All rights reserved.
戻る
■キーワード
日記::一覧展開
2016.06
2016.05
2015.12
2015.11
2015.08
2015.07
2015.06
2015.05
Private Private (2015.05.17)
2015.04
2015.03
2015.02
潮つ路 (2015.02.22)
未見の星座展 (2015.02.07)
2015.01
2014.12
DOMANI/シェル (2014.12.20)
2014.11
五木田智央展 (2014.11.08)
2014.10
山口勝弘展 (2014.10.26)
コンタクト (2014.10.18)
2014.09
SIAF 2014(3) (2014.09.20)
SIAF 2014(2) (2014.09.14)
SIAF 2014 (2014.09.13)
2014.08
ヴァロットン (2014.08.09)
絵画の在りか (2014.08.02)
2014.07
クロニクル1995 (2014.07.26)
SDHCカード集め (2014.07.20)
2014.06
2014.05
無限の可能性 (2014.05.24)
PIOON (2014.05.17)
2014.04
2014.03
唯美主義 (2014.03.09)
写真の境界 (2014.03.02)
2014.02
星を賣る店 (2014.02.15)
日常/オフレコ (2014.02.01)
2014.01
DOMANI/シェル賞 (2014.01.04)
2013.12
ターナー展 (2013.12.14)
2013.11
反重力 (2013.11.02)
2013.10
2013.09
LOVE展 (2013.09.08)
宙色 (2013.09.07)
2013.08
福田美蘭展 (2013.08.11)
2013.07
2013.06
未来の記憶 (2013.06.16)
梅佳代展 (2013.06.15)
片岡珠子展 (2013.06.09)
椿会展 (2013.06.08)
空想の建物 (2013.06.02)
2013.05
2013.04
母-娘、姉-妹 (2013.04.06)
2013.03
卒展めぐり (2013.03.30)
恵比寿映像祭 (2013.03.16)
Black (2013.03.03)
2013.02
実験工房 (2013.02.02)
2013.01
いろはにほう (2013.01.26)
2012.12
MU (2012.12.22)
2012.11
Whirl (2012.11.25)
MOTアニュアル (2012.11.18)
2012.10
2012.09
夢の光 (2012.09.08)
光のアート (2012.09.01)
2012.08
2012.07
具体展 (2012.07.21)
国吉康雄展 (2012.07.15)
2012.06
2012.05
2012.04
2012.03
2012.02
Viewpoint (2012.02.25)
恵比寿・2 (2012.02.19)
イ・ブル展 (2012.02.18)
恵比寿・1 (2012.02.11)
2012.01
2011.12
2011.11
美女採取 (2011.11.27)
日常/ワケあり (2011.11.12)
2011.10
2011.09
銀座線ライン (2011.09.17)
竜宮美術旅館 (2011.09.11)
2011.08
しろきもりへ (2011.08.27)
2011.07
2011.06
京橋、新橋 (2011.06.26)
シンセシス (2011.06.18)
2011.05
風穴 (2011.05.15)
PLATFORM (2011.05.14)
2011.04
水・火・大地 (2011.04.17)
2011.03
パーティクル (2011.03.19)
恵比寿映像祭 (2011.03.12)
カナリア (2011.03.06)
2011.02
豊島美術館 (2011.02.13)
2011.01
藝大先端2011 (2011.01.23)
幽体の知覚 (2011.01.01)
2010.12
2010.11
2010.10
アショカの森 (2010.10.30)
補遺の庭 (2010.10.24)
2010.09
シッケテル展 (2010.09.26)
2010.08
ハーフ (2010.08.21)
発電所美術館 (2010.08.01)
2010.07
2010.06
会田誠巡り (2010.06.12)
2010.05
欲望のコード (2010.05.15)
2010.04
2010.03
絵画の庭@NMAO (2010.03.06)
2010.02
2010.01
2009.12
2009.11
neoneo展 part2 (2009.11.29)
2009.10
広島ノ顔@HMOCA (2009.10.18)
2009.09
吉宝丸@広島 (2009.09.20)
2009.08
2009.07
2009.06
2009.05
2009.03
2009.02
2009.01
2008.12
風景るるる (2008.12.14)
2008.11
2008.10
2008.09
石内都 (2008.09.06)
2008.08
精神の呼吸 (2008.08.24)
2008.07
小さな世界 (2008.07.26)
屋上庭園・他 (2008.07.13)
夢みる世界 (2008.07.12)
2008.06
2008.05
ないまぜ (2008.05.24)
2008.04
2008.03
STILL/MOTION (2008.03.22)
2008.02
1998.11
作成:2014.07.29
公開:2014.08.10

Valid XHTML 1.1

loading image reserved place