■沼津で寿司を食べた後、三島を越えて裾野へ。「クレマチスの丘」にあるヴァンジ彫刻庭園美術館ではイケムラレイコのPIOON展が開催中。イケムラレイコの個展は以前国立近代美術館で観た(うつりゆくもの)時以来。
「うつりゆくもの」では少女性をテーマにした作品が目立つように感じたのだけど、今回3.11の大震災を受けて制作された作品では少女性は後退している。かわりに表へ出てきたのは「うさぎ観音」にあるような大地母神的なモチーフで、庇護するものの姿をしている。3.11を通過したことでいつまでも庇護される対象である少女性を扱うだけではいられなくなったのだろうと思う。おそらく庇護の視線は作品の背後に、作者自身の内面に変わらずあったと思うのですが、それが表に出てきたように感じました。
彫刻庭園美術館は建物の空間は大きいのですが、そのサイズを持て余している感じもあって、建物の片隅を使って展示するのは変わらず。するっと観終わってしまいました。
そのままIZU PHOTO MUSEUMの「増山たづ子」展に。岐阜の徳山ダムに沈んだ徳山村を写真に撮り続けた女性の回顧展という形になりますが、同時にダムに沈んだ徳山村の記録にもなっています。ダムに沈んだコミュニティの記録であると同時に利水・治水による利益享受の代償を突きつける形にもなっているわけです。
2つの展示を観終わると、そろそろ日も傾きかけていたので、箱根へと引き返すことにしました。
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