■DOMANI展は国立新美術館で毎年開催されている、文化庁の美術家育成プログラムの成果展のようなもので、観に行ったのは今回で4回目くらいな気がする。今年は建築家グループの展示があったのだけど、なんとなく去年に比べると少し寂しくなったような印象が。今年は建築家グループのコンセプト展示ブースと抱き合わせになっていて、ちょっと小規模になっているし、印象の強さも前回ほどではないような。
それでも吉本直子さんの着古したシャツや下着をブロック状に固めて積み上げ、何かの遺跡の壁のように見せるインスタレーションの印象は強烈で、名も知らぬ多くの人々によって積み上げられたこの社会というものの層の厚さを思わせる。
他には大野由美子さんの針金で作った大型のインスタレーションは展示ブースの中に朧な気配を作り出して面白い。だけどちょっと印象は弱い。
大栗恵さんの写真も柔らかい光が印象に残る。「窓という意識されないもの」を写そうとするコンセプトは面白いと思ったけど、それはドーナツの穴を取り出す、という行為にも似ているようにも思いました。
やはり今回のDOMANI展は、個人的には吉本直子さんの作品に尽きるという感じがしています。しかし、今回の展示は規模が小さい感じがするのは気になります。次回はどうなるのでしょうか。
DOMANI展を見た後は同じ新美の中で公開されていたシェル賞2013を。シェル石油が主催している新人向けの賞ですが、こちらは正直いろいろ厳しい感じ。審査員にノミネートされていた新人作家の作品はノミネートされるだけあって他の作品とは違い、完成度が高いことは感じました。ただ、他で見たような印象が拭えない感もあり、期待は持てるけれども、これからも名前を見る機会があるかどうか、複雑な思いを持ったのも確かです。