■水戸芸術館は久しぶり。曽谷朝絵の「宙色」展を見に行きました。曽谷さんの絵は過去に幾つかのグループ展で目にしたことがあって、虹色に染められたバスタブのパステル画はメジャーなビジュアルだと思う。個人的に単純にビビッドな色彩が好きなこともあって、好きな美術家のひとり。なので、というか、当然、というか水戸まで。
バスタブや洗面台、水盤を虹色に描いた作品は具象画と呼んで差支えないと思うのですが、展示ではその具象画からはじまり、光の表現をテーマにした作品、新作のビデオインスタレーション「宙色」、室内に色彩が躍る「鳴る光」と展開する。インスタレーション作品では素材の特性上、造形のエッジが立ってしまっていて、パステルや油彩の作品に特有の色の(光の)にじみが失われてしまう。反面、歪んだ水滴のような形状の連鎖からはリズム感が生まれ、空間に色と光が躍る。
展示の構成からてっきり具象画から抽象画・抽象的インスタレーションへと表現するものが変わっていったのかと思ったのですが、作品の発表年度を確認すると別にそういうものでもなさそうで。
もともと曽谷さんの作品を知ったのはバスタブからだったので、キービジュアルとなった「宙色」の水彩画は意外だったのですが、まとめて観ると惹かれたのはその水彩画でした。色と光が広がる、流れる感覚を持つ作品で観ていて楽しい作品でした。つい先日のあいちトリエンナーレで社会的テーマを背景に持った作品を観ていた反動もあったのかもしれません。あれはあれで良いものですし、これはこれで良いものです。
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