■琴平山へ行く途中には丸亀があり、ここには言わずと知れた丸亀市猪熊源一郎美術館(MIMOCA)があります。今年に入ってMIMOCAは杉本博司を1年間フィーチャして、「アートの起源」シリーズを続けています。琴平に行ったタイミングではちょうど「アートの起源」の第2ピリオド「建築」に切り替わった時で、もちろん見に行きました。
「建築物」を重力に抗う意志の表れとして見て取り、権力の象徴であったものが、やがて権力から解放され、自由な表現の一手段になっていった。展示作品はその重力に抗う、屹立する塔をモチーフにしたオブジェとフォルムとしての建物の写真作品が中心となる。
時期的に震災に伴う津波に圧倒される街並みの映像をみたばかりということもあり、ここに並ぶ「建築」のシンボルにこめられる思いと、それをあっさりと打ち倒してしまう自然の対比を思わずにはいられなかった。自然は地上にあるあらゆるものを地表へひきずりおろそうとし、人はその力に抗ってきた。
今回その力が大きな存在として表れたのだけど、また再建は進むだろう。
最上階の展示室では神殿のように壇上に鎮座する「塔」のモニュメント。数式をもちいた回転体のモデル。そして陰翳礼讃。揺れるろうそくの炎。東京電力地域での計画停電を意識したものかは解らないが、非常に同時代的な展示となっていることは間違いない。
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