■例の震災で海外の美術品を借りるのが難しくなっているからか、美術館の企画展スケジュールは間延び気味。以前は横浜のZAIMに行けば何かしら自主的な展示を見ることができたけど、ZAIMは貸しギャラリーとしての活動をやめてしまっているし、Bankartも横トリを控えているからか、展示が少ない。ちょっとスケジュールが空いてしまっていて、でもどこかしら見てみたい、じゃあ、久しぶりに企業のギャラリーを覗いてみよう、と思った。
手ごろな所は銀座周辺で、京橋にはINAXギャラリーがあるし、新橋には資生堂ギャラリーがある。京橋から新橋へぷらぷらと。銀座で買い物するつもりはさらさらありませんが。
INAXギャラリーはINAXがLIXILと名前を変えてもINAXギャラリー。メインのギャラリー1はいわゆる「名車」を作るモデラーの特集。陶芸作家を取り上げるガレリア・セラミカは窪 愛美展。壁の向こうから侵入してくる異界の鳥は、どことなくエヴァの使徒の造形を思わせなくもない。現代美術を扱うギャラリー1は三井美幸のBlack Party展。聖なるもののイメージを反転させ禍々しいイメージを作る。ただ、印象は薄く、どこか、何か欠けている感じ。ガレリア・セラミカの鳥がやはり良かったかなあ。
京橋から銀座の歩行者天国を歩いて新橋へ。
資生堂ギャラリーでは三嶋りつ惠展。これは会期終了間際。ベネチアン・グラスを使った造形作家です。透明なガラスをそのままに使った作品が多く、幾つか曇りガラスを使った作品もありました。形状としては花器かグラスに分類できそうなものもありますが、実用性はまずありません。大胆な造形や表面加工をしたものもあれば、一方で曇りガラスの球は丁寧な仕上げが施されていて、「大胆な」造形はきちんとした技術に裏打ちされたものということがわかります。意表をつかれれるようなことはありませんでしたけど、端整な作品群であったように思います。個人的にはギャラリーへ降りる回廊から見える雨だれの連なりのような、インスタレーション作品が面白く、そうした作品が多ければ良かったのに、と感じてはいました。あくまでも個人的な好みの話ですけど。