路面電車のまち

■知らない都市に行く愉しみのひとつは、その土地のコミュニティFMを聴くこと。もうひとつはその土地ローカルの交通機関を使い倒そうとすることだ。
 広島の場合、コミュニティFMはほぼJ-WAVEをリレーしている状態で、それはそれでなごむのだけど、金沢の高校生放送に比べるとインパクトの面で数段劣ると評さざるを得ないというのはご理解いただけることではないかと信じてやまないこともない。
 でもローカル交通機関の方は面白かった。乗り出があった。そう、路面電車だ。

原爆ドーム前駅より

 広電──広島電鉄は広島県をエリアとする路面電車・路線バスの会社。今回は路面電車だけを利用した。バスは使っていない。反省はしていない。‥‥そうでもないかな。ちょっとくらいはバスも使いたかった。

皆実町六丁目駅より

 全駅乗降はさすがにしなかったものの、行きがかり上利用した路線は本線、宮島線、皆実線、宇品線、白島線となる。広電のサイトで行路長を確認すると、別に乗らなくても良かったようなケースもあるのだけど、それでも乗らずにはいられなかった、というのは強い日差しに負けたからだ。
 歩いてもせいぜい30分程度という距離なら、観光ということなら別に歩いてもそれはそれで好ましい、と普段なら思うものなのだけど、今回は歩きとおしたら半日もたないのは確実と思われた。それにやっぱり、路面電車は普段まず乗らないものだし。
 最初迷ったのは支払いシステム。
 着てそうそう広島駅から乗ったのだけど、まず広島駅で切符を売っていないことに戸惑った。止まっている電車は3両編成で乗り口が全部で4箇所扉を開いている。そして、前払いではなく後払い。全部の戸口に車掌がいる風でもなく、ナニかスマートカードのようなハイカラなものを事前に調達しなければならないのかしらんと駅を見渡してもそんな風でもなく。おまけに広島駅のプラットフォームには「事前にカードを通してください」というなんかプリペイドカードを通さなければならないような、でも通さずに素通りしている人もいる風な改札にしては貧相なゲートもあったりして、何がなんだか解らない。だいたいプリペイドカードはどこで売っているんだよ(翌日、改札を抜けたに販売機があることに気がついた)。

八丁堀駅(だと思った)

 支払い方法がわからないために降りそびれた結果、終点まで連れて行かれてしまうのではないかという妄想におびえながら、流れる汗は暑さのためだけじゃないということをぼんやり感じていた、というのは嘘。何のことは無く、市内は150円共通で、カードや定期がなければ現金を料金箱に払えばいい。降り口は車掌が乗車している(2両編成の場合が多いっぽい)のであれば、運転席脇と車掌脇の2箇所、ワンマンであれば運転手脇の一箇所のみが降り口になる。
 ちなみにプリペイドカードには1日乗り放題カードがあって、これが600円。4回乗り降りすれば元は取れる勘定になる。滞在の両日とも乗り放題カードを使った。

原爆ドーム前駅

 話はとびますが、『夕凪の街 桜の国』(こうの史代)には皆実という名のヒロインがいて、あまり見ない名前だなあと感じたのですが、広島市には皆実町という地名として存在しているのですね、ということを路線図で知った。ありがとう。つーかWikipediaを改めて調べたら全部書いてあるし。

グリーンムーバーマックス

 ところで路面電車の乗り心地というのは正直良くない。スナメリ顔のグリーンムーバーマックスも座っていると結構ごつごつとした突き上げがある。低床設計ということでサスのストロークに制約が大きいということなのかしらん。
 いかにもな雰囲気漂う単車の方は車台が高く、こちらは確かにごつごつは気にならない。ただ、大きな十字路でカーブを切る時はごりごりごりっとした振動を感じて、それが味といえば味かもしれないけど、そんな風に感じるのは観光客だけだろうなあ。
 面白かったのは路線の乗り換え時で、路線図上は同じ駅名でも物理的な配置としては離れている駅がある。的場町駅とか、皆実町六丁目駅とか、八丁堀駅とか。交差点に配置された駅で、路線が交差する位置関係にあると、乗り換え先の駅が交差点のはす向かいにある。交差点に面した車道の真ん中にある駅だから、乗り換え用のコンコースなどはなく、信号に合わせて歩道まで走ったり歩いたり、乗り換え先の駅を探したり。

比治山下駅付近

 ちょっとやられた感があったのが八丁堀駅の乗り換えで、東西に走る路線から白島線に乗り換え用としたとき、交差点の向こうに駅が一つ見えて、それが交差点に向かって右車線側に見えていた。右側だから、白島からこちらに来る方、と思って反対車線側を見てもそれらしいホームがない。交差点には白島線への引き込みらしい軌道が上下それぞれ1条ずつ見えていて、じゃあホームも2つありそうだけどなあと探すけどわからない。
 何のことはなくて、終点に上下2つホームを用意しなければならないほど車輌が走っていないんですね。白島駅から八丁堀駅へ来るときはまっすぐ直進してホームに入り、折り返す時は分岐を通って左車線に移るという、ただそれだけでした。

比治山下駅

 2日とも1日乗り放題カードを使って、結局元はとってしまった。乗り放題カードだと、間違えた路線に乗っても気にならないし、乗り換え時の継続処理をする必要もないし、かなり便利でした。あれでもうちょっと美術館系施設が市内に散っていれば、うまいこと乗せられてしまうんだけどなあ。

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作成:2008.07.24
公開:2008.09.07

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