■金沢は別にショッピング目的ではなかったんで、お店周りを精力的にこなしたわけではないんですが、食事もしたし、買い物もしました。ガイドブックそのままでのチョイスというのは別に面白みもないんですが、面白かったのはやはり立地でしょうか。金沢に何を観に行ったって、街並みを観に行ったような気がします。
金沢は加賀懐石が有名だそうですが、値段もそうだし、ただ食べるだけに料亭に入るというのも気が引けたので、初日はずっと庶民的な食事をチョイス。伝統工芸館を引けた後、金沢市役所裏手の通りに入り込む。まずはグリル中村屋でエビカレー。甘口なんですが、焦げの粒子が混ざって微妙に苦味が。普通においしいんですが、ちょっと物足りない感じ。半日歩きづめだったし、ということで、普段ならまずやりませんが、もう1軒はしご。木倉町に流れ込みグリルオーツカでハントンライスを注文しました。
ハントンライスという言葉の由来が良く解りませんが、見かけはオムライスのバリエーションです。結構なボリュームで、カレーを食べた後に立て続けに食べるものじゃないと、軽く後悔しましたが、ちゃんと食べきりました。盛装した夕食ではなく、普段着の昼食ですね。個人的には赤味噌が使われていなくて、過剰な甘み付けがされていないだけでもう十分です。
柿木畠町と木倉町は百万石通りを挟んで東西に並ぶ格好になっているのですが、通りの造りはだいぶ異なっていて、これは柿木畠側では官庁関係の建設が行われたことが影響しているのかもしれません。柿木畠側を歩いて感じるのは、比較的新しい、雰囲気的には古くても80年代後半、おそらく90年代中盤以降に再開発が行われた様子があり、建物は新しいのですが広い駐車場があちこちにあって妙に街区の密度が低いです。やたらと空き地が目立っていて、バブルの残光とでもいった感じでしょうか。
対して木倉町側は小区画が統合されないまま、鉄筋コンクリート3階建てや、古い二階家の建物などが混在して、みっちりしています。ひがし茶屋街ほどの土地性は感じませんが、少し前の街並みを思わせる街区になっていました。
宿泊したのは香林坊東横インで、これはもちろん金沢21世紀美術館に近いからなんですが、チェックインに顔を出した18:00頃はフロントの前に行列ができていて、こりゃしばらく終わらないなと19:00頃に顔を出したらまだ行列でした。何事が起きているのか良く解らなかったんですが、どうも団体客をうまく捌けていない様子。宿帳の記帳と部屋割りがスムーズにできていない、かてて加えて道案内のようなコンシェルジュ的対応も平行で発生していてスループットががた落ちしていたようです。
個人的に最悪に思えたのはおそらくリタイアを迎えたと思われる初老のライダー集団が押しかけていて、それぞれ記帳に手間取ってフロント業務が殆ど停滞しているように見えたことです。もしかするとここのフロントかブッキングシステムの団体客を捌ける作業フローができていないのかもしれません。実際に自分の番になってみれば、別によその東横インと変わらず、ただ記帳して、クレジット提示して、鍵受け取って、で待ちはせいぜい数分だったし、フロント担当はこちらが記帳している間、他の客への初動対応をしていて、スキル的に不足があるわけでも、場慣れしていないわけでもなさそう。
初老ライダー集団の謎は、65歳以上割引というチラシを目にして解けました。
このホテルで可笑しかったのは、ビデオ鑑賞の仕掛けで、ビジネスホテルによくある有料プログラムではなく、普通に『ブレイブ・ワン』だったんですが、これがどうもフロントあたりに置いてあるDVDプレイヤーの出力をそのまま配信しているようで、DVDのメニューが表示されるわ、日本語/字幕なし→英語/字幕つき、の変更操作がそのまんま配信されているわ、朝方になって観て見るとDVDのメニュー画面が映しっぱなしになっているわで、なかなかの安直感でした。
翌朝は朝マック。お昼はどうしようかと思ったのですが、百万石通りに面した小さなカレーショップ「ターバンカレー」で食べました。ボリュームが良く解らなかったので、ターバンカレーの「小」を頼んだのですが、これはちょっと物足りなかったです。味は、まあ、普通。前の日に食べたグリル中村屋と比べると少し味が強めだったかな。価格的にお手ごろというか、全然観光地価格じゃないというか、ファーストフードライクなボリュームゾーンだったので、次に食べる機会があれば、もうちょっと大目のボリュームを注文するでしょう。
帰りは美術館からあちこち歩き回りながら金沢駅へ。金沢城公園では和菓子系のイベントがあり、その会場を見下ろす小高い場所では土用餅と加賀棒茶の出店というか茶店がありました。これがなかなか。
金沢城公園から武蔵辻方面、金沢駅までのエリアは、これは名古屋でも良く見る雰囲気の地方都市といった感じになりました。それでも国道沿いに展開されるわけではなく、金沢駅周辺、近江町市場周辺、香林坊周辺と拠点に集積されているのは名古屋の周辺地区とは違っています。
金沢駅に戻る前に、横安江商店街という、地元向け商店街に入ったんですが、ここは再開発された通りらしく、妙に通りの幅が広くて、まばらな感じでした。この商店街の武蔵ヶ辻側から入ってすぐのところにCollabonという古い町屋をそのまま生活雑貨(?)系のセレクトショップに改装したお店があり、ずいぶんおしゃれな感じでした。ここではガラス器を期待していたのですが、残念ながら狙っていたものはなく、別の器を選びました。それはそれとして、その包装の仕方がまたしゃれていること。これだけでオブジェになるというか、ほどくのがもったいないというか。ぶっちゃけ器には困っていないので、本当に包んだまま置いておくかもしれません。
Collabonを出た後、同じ商店街の並びにある、薬膳喫茶「杏」で中国茶を飲みながら少し休んで、後は金沢駅へ引き上げました。