■「怪獣」が出てくるので怪獣映画なんでしょうけど、同じような宇宙怪獣と戦う『トップをねらえ!』が怪獣アニメと呼ばれたのを聞いたことがないので、やはり巨大ロボット映画なのだと思います。グアム沖から定期的に湧いて出てくる怪獣を撃退するためイェーガーと呼ばれる巨大ロボットを作ってドつき合いをすることにした。しかし怪獣が出てくる間隔は次第に短く、巨大なものになっていき、イェーガーによる対抗策にも限界が見えてきた。そこで人類は怪獣の湧いて出てくるメカニズムに対し、決戦を挑むことにした。というのがシンプルな骨子。
互いにトラウマを抱えて戦うのがローリーとモリ・マコ。二人は大した葛藤もなくあっさりお互い惹かれあったりするけど、モリ・マコを演ずるのが菊地凛子なので問題ないです。モリ・マコはドアののぞき穴越しにローリーの姿を盗み見たり、ドアのノックを心待ちにしたりしていてすっかり乙女っぷり激しいのですが、見た目30過ぎているのは解るのでなんか微妙な心持ちにならなくもなかったです。外国人には日本人女性の年齢は解りにくいのかな。
映画の要所要所は怪獣対イェーガーのドつき合い。導入部で1回、展開部で1回、終盤で1回。アウトレンジから狙撃するとかそういったものではないので絵的にはずいぶん荒っぽい。その荒み方を救うのがモリ・マコの存在で、やや頬のこけた丸顔で多少癒される。
特になにか教訓めいた終わり方をするわけでもなく、自爆による特攻めいたものを予感させつつももしかしたらどうにかなるかもしれないと思わせたりと、痛快と言えば痛快。定期的に湧き出る怪獣は自然災害のメタファで云々などとヘンに難しいことを考える必要もなく、ただただ菊地凛子の雄姿と、ナードな学者ペアのエピソードが本筋にどう吸収されるのかを待てばよい。
あんまり褒めている感じが出ませんが、褒めているんです。面白かったですよ。